2008年の こみみ 

  教科書バトル  (2008.12.24.)  by T先生

  Yes, we can  (2008.12.10.)  
by A先生

  笑うということ  (2008.11.26.)

  図書館でアレが解消!? (2008.10.24.)

  音楽家と病気(8)
    悠々自適の生活 −ロッシーニは生活習慣病?− (2008.10.09.) 
by K先生

  しかけ絵本の世界 (2008.09.25.)

  『時間とは何か』  (2008.09.10.)

  当世風の古本探し (2008.08.20.) 
by O2先生

  名作が減っているような・・・? (2008.07.31.) 
by T先生

  私を待っている本 (2008.07.17.)

  魔法の音色に魅せられて (2008.07.03.)
 by A先生

  分類に困る本 (2008.06.20.)

  薬降る (2008.06.06.)

  何か面白そうな本が受入されてないかな?と思ったときは。 (2008.05.26.)

  音楽家と病気(7) 音楽と耳−ベートーヴェンの悩み− (2008.05.07.) 
by K先生

  「変な学術研究」 (2008.04.23.)

  アガサ・クリスティーに訊いてみたい (2008.04.09.) 
by T先生

  スポーツの感動を (2008.03.26.)

  物を読まなくなったサルはどこへ行く  (2008.03.12.) 
by A先生

  『図書館戦争』 完 (2008.02.29.)

  「図書館に入れない!」そんなときには・・・ (2008.02.15.)

  体を温める食材  (2008.01.28.)

  大人になっていて、よかったこと (2008.01.10.)


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教科書バトル  (2008.12.24.)  by T先生

 つい先日、私の名前が背表紙に載った初めての教科書が世の中に出ました。
2年近くかけて、特にこの半年は土日も休まずに仕事をして体を壊したほどの力作
です。教科書は、秋に出版しないと次の年の教科書採用に間に合わないのだそうで、
11月半ばの時間切れぎりぎりまで格闘していました。実際に来年度の教科書として
日本中のどれだけの先生が採用してくださるのかわかりませんが、形になった今は
とにかくうれしい気分です。

 当然、うちの大学の本屋さんでも売っていただけるものと思いこんで、原稿が
印刷所に入ったその日にブックセンターへでかけました。
「教科書を置いてほしいんですが。」と言ったら、「売れませんよ。教科書は。」と
のっけからずいぶんとショックなお返事をいただきました。「最近の学生は教科書
買わないですよ。」とたたみかけるように続きます。本屋さんの言い分は「最近は
教科書だから買うなんて意識は学生にはなくて、よっぽど必要とわからなければ
買わない。教科書だからたくさん仕入れてくれと言われても受けかねる。返本が
可能なら考慮するが。」ということでした。

 教科書を学生が買わないという話は聞いていましたが、ここまで本屋さんにとって
深刻になっているとはびっくりです。本を見もしないで「売れない」と決めつけてしまう
本屋さんなんてありえるのでしょうか?よっぽど本を売りたくない本屋さんなわけで、
これで本屋さんとして成り立つのかなあ?と心配になります。

 さて、この話の根本原因は二つありますね。一つは、教科書を買わない学生。
もう一つは、教科書を買わなくてはいけないと思わせられない教員。私が学生の頃は、
教科書は全部買うものと思っていました。実際、買って損はしていないと思います。
講義で十分に使いこなさなかったとしても自分で読んで勉強になったからです。
ところが、今は「講義で使わないと買っても意味ない」という理由がまかりとおっています。
これっておかしくないですか?勉強は自分でするもので、講義で使う、使わないは
関係ないことでしょう?もともと大学の勉強は自分ですることが基本で、講義はそれを
助けるものだったと思います。今の大学はあまりにもサービス過剰で学生を甘やかして
いるのかもしれません。自分で勉強する姿勢を学生に持ってほしいものです。
もう一つ、教員も本当に良い教科書を選んでいるのか、反省すべきところはあります。
今回、教科書を書かせていただいたのも、今の6年制の学生に適した教科書がないと
自分たちで判断したからです。日本の医療の現場を考えたら、新しい6年制学生には
いつまでも外国からの訳本を使っていて良いとは思えませんでした。大変だったけれど、
つくって良かったと思います。教員も学生のニーズをふまえてもっと真剣に教科書を
選ぶ(つくる)べきだと思います。

 私は今、くだんの本屋さんとバトルを繰り広げています。「この教科書は良い本だから、
絶対に売れる。完売させてみせる!」と宣戦布告し、本を仕入れてもらいました。
本屋さんもしたたかで、私が顔を出すたびに「あと○○冊も残ってます。まだ倉庫に○箱も
ありますからね」などと励ましてくださいます。結局、まだ完売していないのですが、
帝京の学生はちゃんとわかってくれると信じています。良い本とわかればきっと買って
くれるでしょう。時間がかかるかもしれませんが、きっと完売させてみせます。


(図書館注)
  その後、学内のブックセンターでは無事完売したとのことです。
  この本は図書館でも所蔵しています。
   有機化学(ベーシック薬学教科書シリーズ) 化学同人  
                          P.08/BE/5 教員著書コーナー


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Yes, we can  (2008.12.10.)  by A先生

 アメリカの次期大統領がバラク・オバマ氏に事実上決まった。様々な報道により、すでに
正式に決まったような印象を持たれるかもしれないが、実際は来週の月曜日(15日)に
行なわれる選挙人による投票で決まる。その結果は、来年の1月6日に開催される議会で
正式に発表され、1月20日に新大統領および副大統領の就任式が行なわれる。

 皆さんが投票する機会がある日本の首長の選挙とは仕組みが異なるため、理解しにくいと
思う。日本の選挙の多くは直接選挙と呼ばれる投票者の意志が直接反映される方法である
のに対し、アメリカ大統領選挙は選挙人を選ぶための投票を行なう、いわゆる間接選挙である。
日本の総理大臣も我々が直接投票すること無く選ばれるため、間接選挙とも言えるかも
しれないが、誰でも投票できるわけではない(現在であれば自民党員のみ)点から、厳密には
間接選挙とは呼べないであろう。特に、最近の民意を反映しない形での総理大臣の選出は、
日本国内だけではなく、対外的にも問題があるように感じてしまう。麻生総理の支持率も、
今の経済成長率のように、ぐんぐん下がっているようだしね。

 話がそれたが、アメリカ大統領選挙は選挙人の取り合いといってもよいだろう。今回の
選挙では、オバマ氏(パソコンの変換では小浜市となって困るな)が365人、マケイン氏が
173人の選挙人を最終的には獲得した。先ほども述べたが、この538人の選挙人が来週の
月曜日に投票を行なうのだ。恐らく、365人はオバマ氏に、173人はマケイン氏に投票し、
オバマ氏が正式に大統領に選出されるはずである。もちろん、選挙人は誰に投票しても良い
ので、ふたを開けてみるまでわからないが、この長い大統領選挙の歴史の中で、選挙人が
本来投票しなければならない候補以外に投票した事はないそうである。
ここまでは何となくわかっていただいたかも知れないが、実は、まだまだわかりにくい仕組みが
いっぱい大統領選挙にはある。まず、この選挙人は各州でオバマ、マケインのどちらかが
総取りしてしまう。とにかく、オバマ氏への投票者が多かった州の選挙人はすべてオバマ氏が
獲得し、マケイン氏への投票が多かった州の選挙人はすべてマケイン氏が獲得することとなる。
だから、2000年の選挙でのブッシュ大統領のように、ゴア候補より総投票数は少なかったが、
選挙人が多い州の選挙人を獲得したために大統領となったという逆転現象も起きうる。今回は、
総投票数も、選挙人を獲得した州の数もすべてオバマ氏がマケイン氏を上回った結果となり、
アメリカ国民の民意が反映された。

 実は、今回の候補者はオバマ氏とマケイン氏の2人ではないことをご存知だろうか。
アメリカは2大政党(共和党と民主党)で国を動かしているといっても過言ではないが、他にも
政党は存在し、これらの政党も大統領候補を独自に選んでいる。これらの候補への投票数は
とても少ないため、選挙結果にはほとんど影響を与えていないが、確かにいくらかの票は獲得
している。また、オバマ氏とマケイン氏が2大政党の候補者に決まるまでも、多くのステップがあり、
詳しくは述べないが国民はかなりの期間をかけて大統領を選んでいることになる。

 私がアメリカにいた2000年にも大統領選挙があった。幸運にも、私がいた大学で
大統領候補の公開討論会が行なわれ、町は選挙ムードで盛り上がった。私も実際に、
民主党員が集まっている会場に行き、討論会が終わって駆けつけたゴア候補を目の当たりに
する機会があり、とても貴重な経験をした。あの頃はテロの前であり、私のような全然関係ない
日本人も、その辺りでうろうろしていたおっちゃんから入場券をもらって、大統領候補が来るような
会場に簡単に入れちゃったりしたのである。今だったら、絶対無理であろう。
とにかく、アメリカ人にとって大統領選挙は、自分達の国の行く末を決めることが出来る貴重な
チャンスであるとともに、お祭りである。しかし、選挙をきっかけとして政治に関する話は、
学生たちの間でも活発に行われていた。日本では、国会議員を選ぶ投票が総理大臣につながる。
その機会がそろそろと言われてから久しい。また、学生に聞くと、住民票を移していないからなどの
理由で選挙に行かない学生が多い。一票で何が変わるかと思っている学生も多いかもしれないが、
一票を投じない限り、自分の意志は絶対に反映されない。“Change”を望むかどうかは別として、
貴重な機会を生かしましょうよ。本当に今の医療制度、今の年金制度、今の景気対策でいいのですか?
何もかわらないと無関心でいるより、“Yes, we can”を信じて次回の選挙に出かけてはいかがでしょうか。


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笑うということ  (2008.11.26.)

今あなたの前に誰かがいる場合、あなたは相手のどこをみますか。
大概顔が見える時は顔を見ますよね。しかもその人が笑っていてくれたら、ほっとするでしょう。
『喜怒哀楽』ーーという人の感情を表す言葉がありますが喜と楽−すなわちリラックスした
状態が笑いにつながるのでしょうか。微笑、苦笑い、大笑い、失笑、哄笑、笑いにも
いろいろありますが、自然にこぼれる笑顔は他の人にも感染し、幸せな気分にしてくれるものです。

 先日読んだ本の中にこんな一節がありました。2人の登場人物の1人、仮にAとしますが、大学生の
彼はどうして花屋でバイトをしているのかと聞かれてこう答えました。
「花を配達に行くとき、花をもらった人は必ず笑顔になるんです。花をもらって嫌な気分になる
人はいないでしょ。しかも花を届ける時はいろいろな感動をもらえるんですよ。」
このままの文章だったか、正確な事は忘れてしまいましたが、多分こんなニュアンスだったように
記憶しています。これには、私もなるほどと思えました。
 人との出会いのシーンで花はちょっとしたアクセントやきっかけになり、ほとんどの場合
良い気分にしてもらえるような気がします。花もですが人の笑顔ももらえると思うと、
現場が大変な状況だとしても一時忘れてしまえるような気がしませんか。
 また、別の日ですが、テレビを見ているとき、出演者の一人がこんな事を言っていました。
「人生長く生きていると辛い事、苦しい事の方が多くなって笑う機会が少なくなるので、一日
一回は心の底から笑えるように努力しています。」これも、正しい事ははっきりしません。
が、人生長くなると努力しないと笑えるようなことに出逢えないのかなあと思わず自分を振り返った
りしてしまったものです。
 そういえば、お医者さんが図らずも重症患者になってしまった方に笑いが一番の治療になると
おっしゃっていたこともあり、障害を受けてしまった人のリハビリに笑う要素が必要という
ことで、演芸会を催すこともあると聞きました。
 また、お医者さんで落語家になっている方がいて、患者さんに定期的に披露なさっている
様子が雑誌の記事に載っていました。そこそこ効果もあるようです。
 
 このように、笑いは必要で大事なもの。日々の生活に或いは勉強に仕事に追われて
なかなか笑いを忘れてしまいそうなら、ここ数年バラエティ番組の中で漫才やコントが
ブームのようでもありますが、たまには落語の作品を視聴してみてはいかがでしょうか。
 「NHK古典落語名作選 三遊亭円生」ほか5作品のビデオは図書館にあります。 

 古典落語はどうも…というかたには、落語の世界を取り扱った「タイガー&ドラゴン」
のDVDなどどうでしょうか。リアルタイムの放送は終わってますが、図書館に所蔵しており、
学生さんが時々視聴しているので割に楽しんでいただけてるようです。
 あと、書籍では佐藤多佳子氏の「しゃべれどもしゃべれども」などどうでしょうか。
これは、2級の落語家の主人公が3人の素人さんに落語を伝授するという話で、昨年映画
にもなってますのでご存じの方も多いと思いますが、元気になれること請け合いです。

 ただでさえ世知辛い世の中、不景気の風をとばすべく笑いの風を取り込んでいきたいと
思いませんか。


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図書館でアレが解消!? (2008.10.24.)

図書館あるいは書店に行くと、“お腹が…”という人が少なからずいます。
テレビなどで時折取り上げられていますが、一体何がそうさせるのでしょうか??
ということで、インターネットで調べてみました。

その一因には、次のような説が挙げられています。
 一.紙やインクの匂いがお腹に刺激を与える
 一.普段、家でトイレに本を持ち込むことによる条件反射
 一.非日常空間で好きな本を探す行為が、心身をリラックスさせるため
 一.本を手にとり、マブタを伏せて読んでいる姿勢をとるため
 一.施設内でトイレに行きたくなったらどうしようというプレッシャー 等々...

しかしながらどの説も、確定的な立証はされていないようです。
検索をしてみてわかりましたが、予想以上に経験している人が多く、
また、本に限らずCDショップやホームセンターでも同様の現象を起こす人がいるそうです。
そう考えるとインク説や条件反射説はアレレ?といった感じですね。

謎です。個人個人の体質ということでしょうか??心理的??医学的??科学的??
実は研究し甲斐のある、とても奥深い現象なのかもしれません。

「最近お通じが・・・」という方は、“ためしに”書架をグルグル廻ってみてはいかがでしょうか?


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音楽家と病気(8)
   悠々自適の生活 −ロッシーニは生活習慣病?− (2008.10.09.)
 by K先生

ジョアッキーノ・アントニオ・ロッシーニ(1792〜1868)は、弱冠25歳で代表作の
一つである歌劇「セヴィリアの理髪師」を作曲し、38歳には39曲目で最後の歌劇
「ウイリアム・テル」を書き上げるほどの早書き天才作曲家でした。
しかし、この作品以後、死ぬまでの約40年間はほとんど作品を発表せず、
大きな謎といわれています。後年になって、ロッシーニは親友に「自分の気力が
だんだん衰え、自分で自分を強制しなければ音楽が全く書けなくなってしまった」と
伝えたそうです。現代でいう「うつ病」にかかっていたのかもしれませんね。
一方、あるイギリスの音楽批評家からは「ロッシーニは音楽を寝床の中で作曲し、
浮世を楽しみ、食卓の喜びを満喫したいために中年期以降、早々と引退した」と
論評されたそうです。なんと自由人!

このように酷評(?)される原因がロッシーニにはあったようで、若い頃から
大変な美食家で、大食漢。さらに世界の酒を愛し、手に入れては楽しんだと
いわれています。なんとなく、うつ病とは縁がないような感じもしますが、
孤独で寂しがり屋の唯一の楽しみが、「食」だったのかも知れません。
特に、ロッシーニはボローニャ産のチーズ、ハム、ソーセージを好み、
勲位や勲章よりずっとありがたいものと感じていたそうです。
調理法にもこだわりがあり、最も好んだ料理は、「パテ・ド・フォアグラ」です。
フランス料理にはロッシーニの名前がついた料理が今でも残っており、
「トウールネド・ブフ・ロッシーニ」(ロッシーニ風フィレ肉の薄切りフォアグラ添え)、
「ウ・ブルイエ・ロッシーニ」(ロッシーニ風いり卵のフォアグラ添え)、
「ブラルド・ロッシーニ」(ロッシーニ風鶏のフォアグラ添え)など、
ロッシーニ風と名のつく料理はこのほかにもいくつもあるそうです。
ロッシーニの写真を見ると、大変な肥満体であるにもかかわらず、長寿の家系に
恵まれ、77歳まで長生きしました。果たして、現代の生活習慣病の兆候は
あったのでしょうか。糖尿病や脂質異常症などは充分に疑われるところですが、
このような記録は残念ながら残っていません。

豊満な美しさで魅了しているダ・ビンチの「モナリザ」では、左の目頭に黄色い
しこりが描かれており、これは脂質異常症による眼瞼黄色腫ではないかと
いわれています。ロッシーニも、ダ・ビンチのような名画家による肖像画が
残っていれば、と思うと残念ですね。

しかし、ロッシーニの茶目っ気が、晩年、開花します。
最後の10年間に思い出したように作曲した「老年の罪」という作品群の中に、
食べ物の名前ばかりがつけられた作品集があります。
「バター」、「干しイチジク」、「干しぶどう」、「バター炒め」、「ロマンティックな
挽肉料理」など、一度聞いてみたい(エッ、食べてみたい?)作品ですね。
晩年まで食に対する執着が強かったのでしょうね。ロッシーニは、このような
自分の嗜好を、「老年の罪」と感じていたのでしょうか。
中年以降の方々、自戒されたほうがいいですよ。ちなみに、ロッシーニの病歴は
47歳ころから神経衰弱、50歳ころから慢性尿道炎が悪化、52歳で膀胱手術、
77歳で直腸ろうの手術が原因で敗血症になり、1868年11月13日に亡くなっています。

彼の作品がどれも明るく、輝いているのは、若書きの作品ゆえの青春そのものが
音になっているのでしょう。ロッシーニクレッシェンドを聞くと、心がウキウキしてきます。
若い時の肖像画があれば、イメージがだいぶ違ったかも知れませんね。
でも、作曲家ですから、彼の真髄は、やはり音楽にあるのでしょう。
近年ありがちな、本質がカモフラージュされそうなコラムになってしまいました。


※図書館より
  モナリザの「しこり」について、興味のある方は以下の本をどうぞ。

    『モナ・リザは高脂血症だった:肖像画29枚のカルテ』
      篠田達明 著  (490.4/SH 3階新書コーナー)
      *モナリザを始め、和洋の肖像画について書かれています

    『名画の医学』
      横田敏勝 著  (490.4/YO 3階一般図書)
      *やや専門的な内容で、和洋の名画を基に病気の解説をしています


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しかけ絵本の世界 (2008.09.25.)

先日、「パコと魔法の絵本」という映画を見てきました。
全編にわたる鮮やかな色彩が印象的な映画でした。
題名からも分かるとおり、この映画は1冊の絵本が軸になっています。
それも普通の絵本ではなく、いわゆる「しかけ絵本」です。
しかけ絵本は、ページを開くと絵が飛び出したり動いたりするもので、
「ポップアップ絵本」とも言われています。

映画の中にでてくるしかけ絵本がとてもよくできていたので、
実際に売られているのではないかと思い調べてみたところ(職業病?)、
やはり発売されていました。映画の公開後は人気が出たのか、
現在は品切れのようでしたが・・・

しかけ絵本といえば、「紙の魔術師」とも呼ばれる有名な作者を
ご存知でしょうか。「ロバート・サブダ」です。初めてこの作者のしかけ絵本を
見た時は衝撃をうけました。それまで「絵本=子どもが楽しむもの」としか
見ていなかったので、精巧なしかけが作り出すダイナミックな世界に驚きました。
特に有名なのは「不思議の国のアリス」の一場面です。無数のトランプが
アーチ状に広がりながら飛び出してくる様子は圧巻です。
最近は書店などにしかけ絵本のサンプルが置いてありますので、見かけたら
ぜひ手にとってご覧になってみてください。
 *このトランプのページは、以下に写真があります
   「大人も夢中、仕掛け絵本 精巧な作りで飽きさせず」(asahi.com)
   http://book.asahi.com/news/TKY200511100092.html

このサブタの「不思議の国のアリス」をはじめ、数多くのしかけ絵本を
出版している「大日本絵画」のサイトには、「しかけ絵本ができるまで
という特集があります。

このサイトによると、本の組み立てはページごと(場面によっては部品ごと)に
それぞれ担当し、1ページずつ人の手によって組み立てていくそうです。
サイトで紹介されている「むかしむかし」の組み立て風景も、「現在の組み立て
制作風景」も、写真がカラーになっただけでほとんど変わらないように見えます。

電子ブックや電子ジャーナルなどの技術によってデジタル化がすすんでいる
出版界ですが、アナログな技術によってのみ味わえる世界はまだまだあります。
みなさんも、ぜひ一度この世界に浸ってみてはいかがでしょうか?


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『時間とは何か』  (2008.09.10.)

最近受入した本の紹介をします。

『時間とは何か』
  池内了著 講談社 2008.7発行
  請求記号:421/IK 配架場所:3階一般

時間に関する雑学の本です。

ざっと読んでみて印象に残ったのが、体内の時計を計るリズム、
サーカディアンリズムについての実験です。

真っ暗な洞窟で周囲との関係を絶ち自分のリズムだけで生活をすると
25時間周期で活動をするが、
明かりという刺激が体内時計を狂わせるかもしれないと考え、
ずっと真っ暗闇のままで実験がおこなわれると
人体のリズムはほぼ24時間だった、と言うものです。

25時間で一回りする体内時計の話はテレビなどで見て知っていましたが、
真っ暗闇のなかでの実験のことは初めて知りました。
本来の体内時計は24時間なんですね。

しかし、この実験、食事もお風呂も真っ暗闇の中でそれだけでも大変なのに、
暗闇でできる暇つぶしは音楽を聴くぐらいでしょうから
被験者の方は時間を潰すのも大変だったでしょうね。

上記以外に、時間の決め方や、動物の体重と寿命について、
タイムマシンについてなどが書かれています。

イラストが多用されていて、さらっと読める科学読み物です。
ご興味がありましたらどうぞお手に取ってみてください。


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当世風の古本探し (2008.08.20.) 新メンバー もう1人の”O先生” O2先生のこみみです

 「こみみ」欄への執筆依頼、リレーコラムということなので直近の記事をふまえて
“連歌”風にまとめれば良かろうとごく軽い気持ちで引き受けたのが大きな間違い
だった。間の悪い巡り合わせというのもあるもので、コワ〜イ先輩のあとに書く羽目に
なってしまい、シマッタと思ったもののあとの祭りである。ここは一つ、開き直って
“本歌取り”させて頂くことにする。

 最近は出版事情のせいか、本の寿命がものすごく短くなっている。
T先生もご指摘の通り、名作と呼ばれるべきものでも少し地味だといつの間にか
店頭からだけでなく出版社の目録自体からも消えてなくなっていたりする。そればかりか、
ここ二、三年の間に書評で取り上げられて話題になり、かねがね読んでみたいと
思っていた本でさえ、ふと思い出して注文すると少なからず品切れか絶版で
再版の予定無し、というありさま。軽佻浮薄が今の世の習いとはいえ、これでは
歳月を経て「名作」と呼ばれるべき著作でも評価が定着する間もなく姿を消さざるを得ない。
岩波書店やみすず書房など、名作・名著を頑張って復刊して下さる奇特な出版社も
あるものの、商業ベースに乗りにくいだけに往々にして期間限定の復刊なので
見つけたらその場で買っておかないと後悔する。例えば、小島政二郎の「眼中の人」は、
近年岩波文庫から復刊されたと思いきや、早くも品切れ重版未定。芥川や菊池寛との
交友など大正から昭和にかけての文壇の逸話を満載にした著述だけにとても残念である。
幸い、清沢洌(きよさわきよし)の「暗黒日記」は岩波文庫版がまだ手に入るようだが、
これもいつまで安泰かは怪しい限り。戦時下においても節を枉げなかったリベラリストの
凄絶な矜持を伝える日記だけに、昨今主流をなす腰砕けの文筆家諸兄には決して
有り難くない著述であり、いつ絶版の憂き目に遇ったとしても不思議はない。
こうしたご時世だけに図書館にはすぐにも消えてしまいそうな良書(それこそレッドデータブック
である)を目敏く見つけ出して、しっかりと確保しておいて頂きたい。

 さて、品切れや絶版で手に入らないのだがどうしても欲しい本というものもある。
知識や情報を得るためだけなら図書館の本を借りて読めばこと足りるが、
装丁の美しい本や画集などは手許に置いておきたくなるのが人情というもの。
学生の頃は神田や神保町界隈で古本漁りをする余裕があったが、最近は時間的にも
体力的にも無理になりつつある。そんな中でとても重宝なのがインターネット。
筆者が時どき利用しているのは、東京都古書籍商業協同組合が運営している
日本の古本屋”というサイト(http://www.kosho.or.jp/servlet/top)。
加盟店が多いだけにさまざまなジャンルの本が検索によって探し出せる。
筆者も、スルバラン(ベラスケスとほぼ同世代のスペインの画家)の画集(美術出版社)や、
学術書のパロディの傑作であるシュトュンプケ著「鼻行類、新しく発見された哺乳類の
構造と生活」(博品社、初出は思索社)を手に入れる際にお世話になった。
こうした趣味に走った本ばかりでなく、もっと一般向けの実用書でさえ近頃は寿命が
短いようである。日曜日の気晴らしの参考文献としておおいに役立っていた片岡護著
「パスタ歳時記」(講談社)なども人に譲ってしまったらいつの間にか絶版になっていて
驚いた。慌てて同サイトで買い直したが、その結果、研究室の学生諸氏は筆者の気まぐれから
時折怪しげなプロダクトの“フェイズ・ワン”に付き合わされる羽目になっており、
いささか申し訳なく思っている。話が少し脱線したが、面白そうな本との邂逅を期待しつつ
古書店街を漫歩散策する愉しみには敵わないまでも、すでにお目当てがある場合には
インターネットで古本探しをするのも案外便利なものである。また、検索の条件をゆるく
設定しておくと、意外な巡り逢いがあるかも知れない。
皆さんも試してみられてはいかがだろうか。


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名作が減っているような・・・? (2008.07.31.) by T先生

 最近、本屋さんに行って欲しい本を探すと「あらら?」となります。探している本がないのです。
特に珍しい本ではなくて、あたりまえのように置いてあったはずの名作とされる文学が
本屋さんから減っています。代わりに最近の日本の作家による本が多くなっているような
感じがします。どんなジャンルであれ、本を読むことは素敵なことです。だから、本屋さんに
本があふれていることはとてもうれしいことだと思います。しかし、いわゆる「must」としたい
名作を置いていない本屋さんというのは、いかがなものかと思います。名作は最近の本の
ような爆発的な売れ行きはないでしょうけれど、いつか、誰かが読んで人生観が変わるような、
そんな一冊になる確率は最近の本より多いんじゃないかと思います。そういう名作が本屋さんに
なくて、なにげなく手に取る機会が減ってしまうのはすごく残念です。いつか、誰かのために、
本屋さんには名作を置いておいてほしいものです。

 私が先日探していたのは「蠅の王」です。中学の頃に一回読んだのですが「気味が悪い」
程度にしか思えませんでした。しかし、NHKのラジオでイギリス人が朗読する原文を聞いて
「もう一度読みたいな」と思いました。でも、本屋さんになかなか見つからず、次の一軒、
また次の一軒、と探し回ってしまいました。「蠅の王」がないなんてありえない!と思いました。
そういえば、私が中学の頃には、どの本屋さんにも岩波文庫がしっかりとそろえてあって、
★の数を数えたものです。今は、岩波文庫もあまり見かけなくなりました。

 変な言い方かもしれませんが、死ぬまでに読んでおくべき名作はたくさんあると思います。
最近の本も良いけれど、古くからある名作の良さを味わってほしいです。長い年月を生き残った
文学なりの良さは必ずあります。夏休み、ぜひ、名作を一冊、手にしてください。


※図書館より
 『蝿の王』(ウイリアム・ゴールディング著)は以下の本に収録されています。
     「集英社ギャラリー世界の文学 5巻 (イギリスIV)
        908/SE/5 3階一般図書
 また、映画化されたものをDVDでも所蔵しています。
     「蝿の王
        778.233/HA 2階視聴覚コーナー


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私を待っている本 (2008.07.17.)   

 今週から夏休みの長期貸出を開始しました。以前に比べて3冊以上借りていく
学生さんが少なくなったような気がします。せっかくの機会ですから、問題集や
専門書の他に、長編小説や普段読まないジャンルの本を読んでみてはいかが
でしょうか。

 では、どんな本を、というとやっぱり本棚の前に立ち、目についた本を手にとって
ぱらぱらとめくっていく。こうして意外な本を見つける楽しみを味わいながら探す
のがいいですよね。と、言い切ってしまうとここで終わってしまうので、こんな本が
あるんですよ、という宣伝を兼ねて、気になっていながらまだ読んでいない本を
ご紹介しましょう。けして私のメモ代わりではありません・・・。
せっかく買ったんだから、私のほかにも誰か読んでね。


「午前4時、東京で会いますか?:パリ・東京 往復書簡」
 シャン サ  リシャール・コラス ポプラ社 915.6/SH

 この本を一言で説明すると、「パリ在住の女性作家と、シャネル日本法人社長
の往復書簡」というだけになってしまいます。私が特に興味を持った覚えた点は
シャン サ氏が画家バルテュス夫妻のお嬢さんと友人であり、バルテュス夫妻と
ともに暮らしたことがあるということでした。単行本化される前の連載をたまたま
読んだことがあったのですが、その前にバルテュス夫人節子さんの連載を読んで
いたので、とても興味を引かれたのです。こういう偶然の一致も運命を感じますね。
もちろん内容も興味深く、読み始めれば一息に読んでしまうような気がして、
それがまた惜しいようでもあるのです。


「女ひとり世界に翔ぶ:内側からみた世界銀行28年」
 小野節子 講談社 338.98/ON

 本の表紙には、元世界銀行シニアアドバイザーという著者の肩書きが書いて
あります。特に経済に興味があるわけでもない私の目にとまったのは、実は
オノ・ヨーコさんの妹さんであることでした。ぱらぱらっとめくっただけですが、
経済の話ではなく、著者自身の人生についてのようです。文章も読みやすく
スケールの大きな話である印象を受けました。人脈の上でも・・・。


「私は三年間老人だった」
 パット・ムーア 朝日出版社 369/MO

 26歳の女性が老人に変装して3年間を過ごした記録、らしい。なぜそんな
ことをしたかというと、著者は工業デザイナーであり、どんな人にも使いやすい
製本をデザインしているか、という疑問があったから。いっとき、老人学
や老年医学の本がだいぶ利用されていましたが、この本も読んでもらえた
のでしょうか? 印字が大きいのは、わざとなのかも気になるところ。


本当はもっとたくさん紹介したい本があるのですが、あまり長くなってもいけません
ので、ここは我慢してあと2つだけに。

「グラデュエーションデイ: 未来を変える24のメッセージ」
 アンドリュー・アルバネーゼ オデッセイコミュニケーションズ 159.7/GU
「希望:行動する人々」
 スタッズ・ターケル 文藝春秋 936/TE(文庫コーナー)

前者は、アメリカの大学卒業式記念講演での、24人の著名人のスピーチ集、
後者は、逆境を乗り越えた市井の人々へのインタビュー集
私は感動しやすい性質なので、このテの本はとても好きです。
短編集のような感じですので、短い時間でもさらっと読めそうですが
まだ順番待ちリストに入ったままです。


館内で行っている展示でも、なるべくいろいろな本をご紹介したいと
思っています。これは、と思う本があったら、ひそかに返却台に置いて
おいてくださいね。私のリストに入れておきますから。


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魔法の音色に魅せられて (2008.07.03.)   by A先生

ストラディバリウスと呼ばれる楽器をご存知であろうか。かなり有名であるので、
聞いたことがあるぞという人も多いのではないだろうか。弦楽器、特にバイオリンが
一番多いのだが、ストラディバリウスと呼ばれる物は現在世界に650梃ある。
これらは、イタリア人のストラディバリにより作られたものである。しかし、何よりもその
価格に驚かされる。贋作も多く出回っているようだが、真作と証明されたものには
数億円の値がつくものもある。

なぜ、それほどまでの価格となるのだろうか。もちろん奏でられる音色がすばらしい
こともあるが、その他の要素が複合的に影響しているようである。希少価値、
ストラディバリの技術、材質だけから判断すると、その価格にはならないそうである。
不思議なことである。私が手に入れる事は、まっとうな方法では不可能なようだ。
また、骨董品として所有している人もおり、演奏家自身も手に入れる事は簡単では
ないようだ。そこで、財団や富豪から貸し出しという形でストラディバリウスを手にする
演奏家は多い。

私も機会があり、先日、生の音色に触れた。千住真理子さんが「デュランティ」と呼ばれる
ストラディバリウスを演奏した。千住さんによると、「デュランティ」はストラディバリにより
作られてから一度も演奏家の手に渡ったことが無く、300年近くもの間演奏されたことがない
バイオリンということであった。彼女が手に入れたのも偶然であり、不思議なめぐり合いを
感じると話していた。また、自分の一部のようであり、弾くたびに新たな発見がある不思議な
バイオリンだとも話していた。

彼女の技術もすばらしかったが、奏でると表現するより、歌うような音色が響き、至極の時
であった。やさしい音色に感じた。うろ覚えで申し訳ないが、ストラディバリウスのみによる
演奏会が以前行なわれたように記憶する。興味がそそられる。また、久々に生の演奏に
触れられたのも良かった。東京付近に住んでいると、音楽だけではなく、スポーツ、演劇、
舞踏など世界の超一流に触れるチャンスは多い。値段はそれなりにするが、それだけの
価値があるのではないだろうか。是非、世界の超一流に触れ、感性を若いうちに養って欲しい。
ちなみに、今回私は、抽選で選ばれ招待されて演奏会に行った。
こんなチャンスもころがっている。


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分類に困る本 (2008.06.20.)

図書館の本は、一定のルールに従って「分類」されています。これは大学図書館・
公共図書館問わず、ほとんどの図書館でおこなわれている作業です。
当館の場合も、「日本十進分類法(NDC)」という規則に則って、本の内容にあう
「分類番号」をつけ、その番号を背ラベルに入れています。
棚に並べるときにはその番号順に並べるので、結果的に同じような内容の本が
集まって並ぶことになります。

ところが、時々この番号がつけにくい本があります。

たとえば「雑学」に関する本。当館にも次のような本がありますが、これは
どんな分類になるでしょうか?
  『雑学新聞 : 身のまわりの疑問を徹底取材!』(PHP研究所)
  『雑学力検定テスト』 (PHP研究所)
内容がいろんな分野にまたがっている・・・文学に関することも書いてあるし、
コンピュータに関することも・・・かと思えば芸術?音楽?・・・
「雑学」が主題なので、当然様々な内容が載っているのですが、それでは
どの分野の番号をつけたらいいのでしょうか?

実は、このような本につけるための番号があります。それはNDCでいうと「049」。
「雑書」と呼ばれています。
(便利ですが、この言い方も漠然としていますね・・・)
当館のこの番号には、雑学本のほかに次のような本があります。
  『おとなの自由研究』( アスペクト)
  『生協の白石さん』(講談社)
  『知ってるようで知らないものの順序』(幻冬舎)

図書館としては、この「雑書」に入れるものが多くなりすぎると分類の意味が
なくなってしまうため、ここの本はあまり増やさないほうが良いとも言われています。
各図書館の利用に即して、出来る限り主題に近い番号をつける、どうしても
無理だったら「雑書」にする、という感じでしょうか。
何を「雑書」と見るかで、各図書館の特徴が出るとも言えます。

ちなみに、相模原市立図書館での分類を見てみると、当館で「049」に分類して
いる本でも、別の番号をつけているものがありました。
  『心がぽかぽかするニュース』 → 「302(社会・文化事情)」
  『イグ・ノーベル賞 : 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手!
                     → 「002(学問一般)」
  『ノーベル賞受賞者にきく子どものなぜ?なに?
                     → 「034(百科事典・問答集・クイズ集)」

専門書が多く一般教養的な本が少ない大学図書館にくらべ、収集分野が多岐に
わたる公共図書館では、「雑書」に扱われるものが少ないように感じます。

当館と同じNDCを分類のルールとして使っている図書館では、「049」の棚に
「分類に困った本(?)」が並んでいる可能性が高いです。
どこかヨソの図書館を利用するときにはぜひ「049」の棚を見てみてください。


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薬降る (2008.06.06.)

♪6月6日に雨ザーザー降ってきて・・・

日本の6月といえば梅雨です。
ムシムシする、洗濯物が乾かない、いたるところにカビが生える…。
1年の中でも、過ごしにくい月かもしれません。
でも毎年のことなので何とか気を紛らわしたいような??


雨にはいろいろな種類があるようです。

夏の雨に限りますと、天気雨夕立涼雨雷雨霧雨夏時雨…。
これらの雨は日常で耳にすることができます。

他には、
日照雨(そばえ)…日が照っているのに降る雨。
天泣(てんきゅう)…晴れわたった空から降る雨。
狐雨(きつねあめ)…日が照っているのに降り落ちる小雨。
牛脊雨(ぎゅうせきう)…晴雨域をはっきり分けて降る雨。
雨濯(うたく)…みな洗い流してしまうほどに降る雨。     等々...

ひとえに雨と言っても様々な表現がありますね。
そして最後に薬学部にちなみ、“薬降る”を。

薬降る(くすりふる)…旧暦5月5日の午の刻(正午)に雨が降ること。
  昔はこの日に薬草をとる風習があったところから「薬日」と称された。
  その降った雨が竹の節にたまったものを神水ともいい、薬を作るのに用いられた。
  また雨のかかった薬草はよく効くと珍重がられた。
  ※平成20年の旧暦5月5日は、6月8日にあたります。


雨を眺めながら何雨か考えてみると、梅雨最中の“小さな楽しみ”になるかもしれません。。。


引用・参考書籍
『雨の名前』
  高橋順子文 ; 佐藤秀明写真 小学館 2001.
  一般図書 請求記号:451.64/TA


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何か面白そうな本が受入されてないかな?と思ったときは。 (2008.05.26.)

何か面白そうな本受入されてないかな?と思ったときは、
図書館ホームページの「新着資料案内」を活用してみてください。

受入しましたら基本的に1週間ほど新着展示コーナーで展示しますが、
そんなにまめには図書館に来ないから
どんな本が受入されたか分からない、という人もいますよね。

そういうときは、「新着資料案内」で調べてもらえると
月ごとに受入した本を知ることができますので、ぜひ、活用してみてくださいね。

なお、最近受入した科学読み物系の面白そうな本は下記のような物があります。
興味がありましたら読んでみてください。
実際に読んだわけではなく、題名と書評で選んでますが。


  『「眠り病」は眠らない : 日本発!アフリカを救う新薬』
    山内一也, 北潔著 岩波書店 2008.1
    配架場所:3F一般図書 請求記号:493.88/YA

  『免疫学の巨人イェルネ』
    トーマス・セデルキスト著 ; 長野敬, 太田英彦訳 医学書院 2008.2
    配架場所:3F一般図書 請求記号:491.8/SO

  『感染地図 : 歴史を変えた未知の病原体』
    スティーヴン・ジョンソン著 ; 矢野真千子訳 河出書房新社 2007.12
    配架場所:3F一般図書 請求記号:498.6/JO

  『ヒトは食べられて進化した』
    ドナ・ハート, ロバート・W・サスマン著 ; 伊藤伸子訳 化学同人 2007.7
    配架場所:3F一般図書 請求記号 469.2/HA

  『ドラッグストアトリッパー!』
    森井ユカ著 青山出版社 2007.9
    配架場所:3F一般図書 請求記号:P.04/MO


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音楽家と病気(7) 音楽と耳−ベートーヴェンの悩み− (2008.05.07.) by K先生

 ベートーヴェン(1770〜1827)が難聴で苦しみ、ハイリゲンシュタットで遺書を
書いたことは、音楽の教科書に載るほど有名な話ですね。1801年、友人の医師
ウェーゲラーに宛てた手紙には、「耳の聞こえがこの3年来悪くなってきている。
原因はこのところ下痢が続くことが原因ではないか」と訴えています。
下痢を難聴の原因と考えるのは難しいですが、ベートーヴェンは、難聴だけでなく、
下痢によっても生涯苦しんだということはあまり知られていません。
これは、今考えれば、精神的抑圧やストレスによって起こる過敏性腸症候群では
なかったか、と推察されています。

 ハイリゲンシュタットの遺書は、1802年10月6に書かれています。直接の原因は
人間嫌いのベートーヴェンが始めて結婚を考えた女性と別れなければならなかったこと
ですが、長期にわたる難聴や下痢が原因で、自殺を企てるほどのうつ状態に
なっていたと考えられています。200年以上も前の話ですが、病気の原因は
現代社会に通じるものが多いのに驚かされますね。

 1810年頃には、筆談帳を使わなければならないほど聴力障害は悪化したそうです。
教科書やボンのベートーヴェンハウスに展示してある独特の形をした補聴器は、
メトロノームを発明したメルツェルが、ベートーヴェンのために作ったそうです。
でも、ベートーヴェンは人前で補聴器を使うのが嫌だったようです。
難聴の原因は、一般的には聴神経炎および聴神経萎縮といわれています。

 この時期、ベートーヴェンは40歳。難聴が彼に与えた創作意欲の低下は
計り知れませんが、この時期に作曲された作品こそ、ベートーヴェンの代表作として
親しまれていることを考えると、意志の強さと才能を自ら引き出した精神力に
私たちは学ぶことが多いのではないでしょうか。一例を挙げれば、あの有名な
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」は、1807年から8年にかけて作曲されています。
作品番号がついた作品だけでも約140曲残しているので、その創作時期の半分以上が
難聴との戦いであったということになります。

 視覚、聴覚、味覚など、自分が感じたようにみんなが感じているのではないかも
しれない、と感じたことはありませんか。これらの感覚は、同じように感じても、
決して他人と同じに感じることはできないのです。健康でも、人間の耳は20〜20,000Hzの
周波数帯しか感じることができませんし、年齢と共に高周波数は感じにくくなると
いわれています。ちょっと考えを深めると、人間が感じる周波数帯以外の超音波や
低周波を聴く(感じる)ことのできる生物では、全く違った音を感じているのでしょうね。

 では、ベートーヴェンは、どのように音を感じて作曲したのでしょうか。
これは想像の域を出ませんが、たぶん、音符を重ね、楽器の音色を思い出し、
耳ではなく頭の中(心)で感じた壮大な音の伽藍を音符に刻み付けたのでしょう。
それが人類をここまで感動させる「音」になる。凄いことだと思いませんか。

 感覚器は情報の入り口。それを感じ、創作してゆくのは心。芸術の深さを感じるこの頃です。


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「変な学術研究」 (2008.04.23.)

 図書館で購入している本の中で、ほんの一部ですが、図書館員が選んでいる
ものがあります。本を選ぶときには、書評誌や出版情報誌、新聞、インターネット、
いろいろな情報源を使いますが、目についた本を全部買うことはできません。
あらすじや書評などをもとに、基準をクリアした本を選んでいます。悩んだときには
現物を確認することもあります。
 そうした作業の中で見つけた1冊に、「変な学術研究 1」という本があります。
サブタイトルとして、『光るウサギ、火星人のおなら、叫ぶ冷蔵庫』とあり、興味を
ひかれました。早川書房から出ているので、それほど怪しい本とも思えませんが
見てみることにしました。

 この本についての著者の説明を一言でまとめると、「専門知識がなくても、読んで
面白い科学論文」を集めたということになるでしょうか。ひとつあるいは複数の研究
を文庫本で4ページほどにまとめて紹介しており、科学の知識に乏しい私でも十分
に楽しめました。全部で54章あるのですが、本としては薄くて手にとりやすいです。
 どれもおもしろかったのですが、特に気に入ったものをいくつかご紹介しましょう。
チアリーダーの負傷は、1983年から2002年に女性のスポーツで認められた57例
の重症事故の約半数をしめるという報告。野生のキリンは臭気を放つがそれは
なぜかという研究(キリンがくさいとは知らなかった!)。「ハトによるモネとピカソの
絵画の識別」という論文は、慶応大学の教授の研究です。
 一番心ひかれたのは、犬にクラシックやヘヴィメタルを聴かせて、その反応を調べた
研究でした。なんでも、50匹の犬を集めてメタリカを聴かせたところ、いっせいに吠え
たてた。この後ベートベン、ヴィヴァルディ、バッハを聴かせたが、静かに聴いていた。
さらに、ブリトニー・スピアーズを聴かせると、音楽をかけていないのと同じ状態だった、
と紹介されています。

これには、興味をひかれたので、全文が読めるかどうか調べてみました。
論文の掲載誌についての情報が、和訳された雑誌名、巻、頁しかないことが、
この本に対する大きな不満です。
 ともあれ「動物福祉」というタイトルに、「アニマルウェルフェア」とふってあったので
おそらく"Animal welfare"であろうと思い検索しました。Universities Federation for
Animal Welfareから刊行されている同誌であることが確認できました。残念ながら、
全文をネット上で読むことはできませんでした。Abstrct(抄録)を読む限り、固有名詞
はでてきません。当然といえば当然かもしれませんが、さらに興味をそそりますよね。
私は英語論文を読みこなせる訳ではないので、ちょっとほっとしたような・・・?
 でも眺めるだけでも勉強になったのに。

 「変な学術研究」は現在2巻まで出版されていますが、意外と人気があるようで
某市立図書館では順番待ちです。もちろん私も順番待ちをしていますが、やっぱり
図書館選定分で買ってもらおうかな・・・。そうしたら、「光るウサギ」って?という
疑問が解決しますよね。


「変な学術研究 1」 エドゥアール・ロネ著 早川文庫 2007


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アガサ・クリスティーに訊いてみたい (2008.04.09.)
 by T先生

薬害という言葉は新聞にもよく登場します。つい最近も肝炎の問題がありました。
被害にあわれた方がどれほど苦しんでいるか、本当に辛い毎日だろう、と思います。
こういう悲しい事象が減るための速効性がある手段の一つは、薬についての情報を
一般の人にもっと適切に伝えることだと思います。

たとえば、一昨年から昨年にかけて大変な騒ぎになったタミフルについては
もっと情報が必要です。インフルエンザの特効薬として大きな期待を背負って登場した
タミフルが一気に「危ない薬」になってしまいました。タミフルによって亡くなられた方が
いらっしゃるという現実は重く受け止めるべきで、「タミフルは嫌だ」と患者さん達が
おっしゃる気持ちもよくわかります。でも、タミフルを飲まずにインフルエンザが悪化して
亡くなることもあり得るのです。大切なことは、薬にはメリットだけでなく必ずデメリットも
ついてくるということ、これを一般の人に理解してもらうことだと思います。十分な情報を
得て、患者さん自身がメリットとデメリットを秤にかけて考えていくことができたら、
きっと薬の使用を適正に行うことができるでしょう。情報が適切にいきわたることが大切と
思います。

ところで、タミフルのもたらす精神症状については疫学的な調査も行われていますが、
すぐに結論を得るのは難しいかもしれません。実は、アガサ・クリスティーの「忘れられぬ死」
(ハヤカワ書房)にもインフルエンザのもたらすうつ症状が当たり前のように出てきます。
小説の冒頭で女性が毒を飲んで自殺するのですが、その理由が「インフルエンザの後の
うつ状態」であるとされ、警察もそれで納得してしまうのです。それにしても、こんな動機が
認められたとは驚きです。1940年代の人々は「インフルエンザにかかった後はうつ状態に
なって、自殺もあり得る」と思っていたことが伺えます。インフルエンザと精神症状の関連を、
アガサ・クリスティーを初めとする過去の人達が了解していたのはどうしてなのか?
当時は本当に自殺者が多かったのかも知れません。インフルエンザは本当にうつ状態を
もたらすのでしょうか?どうしてアガサ・クリスティーはそれを知ったのでしょう?彼女が現代に
蘇ってくれたらなあ、と思います。もしかしたら、タミフルのもたらす精神症状についての
手がかりを示してくれるかもしれません。訊いてみたいものです。


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スポーツの感動を (2008.03.26.)

 正月のイベントとして、あまりにも有名な箱根駅伝。今年は、帝京大も走ることになって一気に盛り上がり、
当日は8位という快挙でシード権を獲得し、来年に繋げてくれたことでさらに盛り上がりましたね。
新年の挨拶に伺う先で途切れ途切れにテレビ観戦しておりましたが、なかなか熱のはいるいいレースが
展開されるものだなあと感激しきりでした。

 時を同じくして、1冊の本に出会いました。三浦しをんさんの『風が強く吹いている』です。この作品の前に
『まほろ駅前多田便利軒』を読み、興味を感じ手にとってみたのですが、普段スポーツものはほとんど読まない
ので、本当は読破出来るか正直不安が残りました。しかし、頭で考えるよりもずっとすんなり入っていけました。
学生寮のたった10人で(中に陸上経験者は3人ーしかも問題有り)箱根駅伝を目指すのです。指導者は
そのうちの1人。小さな記録から積み重ねていき、近所の商店街の人たちの応援を受けて、確実に頂点を
目指していくのですが、登場人物も愛くるしく、人間味があふれてて、みんなで頂点すなわち箱根を目指す
姿に心打たれました。特に後半部分は一息に読んでしまいました。陸上に関する基本的な知識があまりなくても
十分楽しめるどころか感動をもらいました。
 著者は、実際に大学の陸上部に取材をされたそうです。

 スポーツに限らず、脇目も振らずに一途に好きなことに打ち込む姿は毎度毎度感動してしまいます。
スポーツを扱った同じような作品として、

 佐藤多佳子氏の「一瞬の風になれ(全3巻)」…神奈川の某公立高校陸上部が舞台、主人公ともう1人の天才
        的に脚の速い生徒を取り上げた青春(!?)小説。
        実際に麻溝台高校を取材した上での作品で新聞でも取り上げられました。

あさのあつこ氏の「バッテリー」(全6巻)…中学野球部が舞台、本来は児童書ですが広く読まれています。
         6巻という、全体としては長編モノですが、一気に読ませてしまいます。

 すでにマンガになったり、映画等にもなっているようなので、内容をご存知の方も多いかと思います
が、原作本が図書館にもありますので、興味のあるかたは手に取ってみて下さい。
この時期甲子園で行われている春の高校選抜野球大会がより身近に感じられるかも知れません。


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物を読まなくなったサルはどこへ行く  (2008.03.12.)  by A先生

帝京大学薬学部に通うために、電車を利用している学生は多い。
同じ電車になり、何をしているのかを見ていると、携帯をいじっているか寝ているかの
どちらかであるように感じる。たまに、本を読んでいる学生も見かけるが、本当に少数である。
また、新聞を読んでいる学生はというと、皆無といってよいだろう。

この状況は、薬学部の学生に限ったことではなく、普遍的なものと思われる。
ライブドアが行なったインターネット上のアンケート(回答数約5000)では、
55%が携帯を操作(メール、ゲーム、サイトの閲覧)、44%が寝ると答えている。
複数回答を認めているため、他にも39%が読書や新聞、34%が考え事をする、
33%が広告をながめる、27%が音楽を聴くと続いている。
読書している人の割合がやや高く感じる以外は、それほど帝京の学生と差がないであろう。

このアンケートでは、本と新聞とを分けていないため明らかではないが、筆者は電車の中で
新聞を読んでいる人が年々減っているように感じる。
2005年に行なわれたNHKの国民生活時間調査では、新聞を読む人は男性の20代で21%、
30代で29%と、2000年に比べてそれぞれ10%と13%とおおよそ3分の1が減少している。
また、一日に新聞を読む時間の平均は20代で6分、30代でも10分と、テレビの2時間強と比べると
あまりにも少ない。やはり、新聞は読まれなくなりつつある。1000万部まで達した購読数も
減少に転じているようだ。

インターネットにアクセスすると、簡単にニュースはわかる。また、ご存知のように
中央線の新車両ではご丁寧にニュースを流してくれる。世の中の事件を知るのには、
それで十分と多くの人が考えているのかもしれない。
本当にそれでいいのだろうか。一日の新聞の情報量は、文庫本一冊以上に匹敵するらしい。
それだけの情報をあまりにも簡単に捨ててはいないであろうか。新聞をじっくりと読み、
世の中の出来事を考える事は、薬剤師と生きていく上に今後必要となるコミュニケーション能力や
問題解決能力を養うために役立ちはしないであろうか。
本当に、長い文章を読むことに時間が割けない日本人(人類?)は、どうなってしまうのだろうか?


※図書館より

 図書館では、以下の新聞を購読しています。
 カウンター横のブラウジングコーナーにありますので、ご利用ください。
    朝日新聞  <縮刷版もあり>
    毎日新聞  <縮刷版もあり>
   読売新聞  <縮刷版もあり>
    日本経済新聞 <縮刷版もあり>
    神奈川新聞
    日刊スポーツ
   Herald Tribune (ヘラルド朝日)

 また、以下のような専門紙も所蔵しています。
   薬事日報
    週刊医学界新聞
    科学新聞
    教育学術新聞


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『図書館戦争』 完 (2008.02.29.)

先日、ついに『図書館戦争シリーズ』の完結巻「図書館革命」が発売されました。
第1巻発売当初より図書館界では話題となり、いろいろな図書館雑誌で取り上げられました。

舞台は“架空”の現代。
公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立・施行された日本。
不当な検閲から「本」を守ろうとする図書館隊員たちの戦いと日常を描いたエンターテイメント小説です。
(公式HPより引用)

巻末に書かれた「図書館隊について」を見てみると、図書館と自衛隊がうまく融合されているのがわかります。
作中では、中央線沿いの地名が出てくるので親しみやすいかもしれません。

この4月からはフジテレビでTVアニメ化が決まっています。
ご興味のある方は、どうぞご覧ください。


◎図書館シリーズ 有川浩著 メディアワークス 請求記号:913.6/AR 3F一般図書
  「図書館戦争」 2006.02
  「図書館内乱」 2006.09 ※
  「図書館危機」 2007.02  
  「図書館革命」 2007.11  

※ 作中に登場する書籍も所蔵しています。
  「レインツリーの国」 2006.09 有川浩著 新潮社 請求記号:913.6/AR 3F一般図書


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「図書館に入れない!」そんなときには・・・ (2008.02.15.)


図書館の入口・出口で、学生証(利用者カード)を通したのに自動ドアが開かない!
それなのに、なぜか図書館の職員が代わりに通してみるとドアが開く・・・
そんな経験ありませんか?

入口・出口のトラブルは多いのですが、そのほとんどは「学生証の通し方」・「立っている位置」
によるものです。自動ドアが開かない場合には、次のような原因が考えられます。

◆ 学生証を通すと「ピピピピッ」というエラー音がする(赤いエラー表示が出ます)
◆ 学生証を通しても何も反応しない(通常は緑色の「開錠」という表示が出ます)
   ⇒ 【原因】 学生証の向きが間違っている
           学生証の通し方が早すぎる・遅すぎる
    
  ※ 学生証は表を左側に、磁気ストライプ部分を奥にして、まっすぐ差し込んでください。
  ※ 通す時は一定の速度で一気に通してください。

◆ 学生証を通すと「開錠」の表示が出るのに、ドアが開かない
   ⇒ 【原因】 自動ドアのセンサーの感知範囲外に立っている

  ※ 立っている位置がドアに近すぎると感知できません。少し下がってみてください。
  ※ 立ち位置を変えて、再度学生証を通してみてください

ほとんどのトラブルは上記の対応で解消します。

しかし、いろいろな方法で試してみてもやっぱり開かない場合があります。
そのような時は、その場で図書館事務室に申し出てください。(図書館入口に向かって
左手に事務室があります)
磁気情報が消えてしまっている可能性がありますので、図書館事務室にて磁気の
入れ直しをいたします。(処理は数分で終わります)

急いで入りたい・出たいときに出入口でエラーになるとイライラしますよね。
いちいち学生証を通すのは面倒くさい、という意見をいただくこともあります。
しかし、入退館のデータは数値化して利用統計に使用していますし、
学生証・利用者カードによる出入りの管理には防犯上の理由もあります。
自分の学生証をきちんと通して図書館を利用してくださいね。


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体を温める食材  (2008.01.28.)

随分と寒い日が続いていますね。
特に先週あたりから冷え込みが厳しく、天気予報などで相模湖の最低気温が
「−5℃」とかになっていたりして例年よりも結構寒いような気がします。
出勤したり帰宅した直後は体も冷え切っていて、体を温めてくれる食べ物が欲しくなりませんか?
そこで、体を冷やさない、体を温める食材などが載っている本をご紹介します。

『薬膳だから:かんたん! おいしい! からだにいい!』
  柳田栄萬著 講談社 2007.6発行 請求記号:596/YA 配架場所:3F一般

  健康維持のための「季節の薬膳」として、各季節にお薦めの料理のレシピが載っています。
  冬のレシピとしては、体を冷やさない「温性」の食材を使った料理が紹介されています。
  

『食べるくすりの事典:台所は家庭の薬箱』
  鈴木昶著 東京堂出版 2005.11発行 請求記号:498.5/SU 配架場所:3F一般

  「医食同源」「薬食同源」ということで、各食材の栄養素について紹介されています。
  冷え性に効く食材として、「ショウガ」「トウガラシ」「ユズ」などがあるようです。

『「体を温める」と病気は必ず治る:クスリをいっさい使わない最善の内臓強化法』
  石原結實著 三笠書房 2004.4.発行 請求記号:498.3/IS 配架場所:3F一般

  ”必ず治る”とか”クスリをいっさい使わない”とか、ちょっと、、、どうだろう? な
  書名だなぁ とは思いますが、「体を温める」のは実際健康法としては良いようで、
  ネット書店でのレビューでは評判はそんなに悪くないようです。
  各症状にあわせた体を温める食材の摂り方などが載っています。

いずれの本も図書館で所蔵しています。
興味がありましたらご覧くださいませ。


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大人になっていて、よかったこと (2008.01.10.)

 あたりまえのことですが、生きている限り年をとっていきます。特にお正月や
誕生日に感じるその重みは、年が経つにつれせつないほどです。このせつなさは
本の世界でも感じます。昔好きだった本を思い出すとき、読み返すとき、その登場
人物との年の差に愕然とすることがあります。みなさんによくわかるような例をあげ
ると、例えば「サザエさん」。ワカメやカツオは言うに及ばず、どうみても大人だった
サザエさんさえ、今となっては年下です。それから「ドラえもん」。のび太はみなさん
が初めて会ったときと比べてどうですか? ずいぶん子どもに感じませんか?

 もちろん大人になってよかったこともあります。全巻を一気に揃えるような大人買い
ができること、だけ(?)ではありません。年を重ねた者にしかわからないこともある
のです。読み返して初めてわかる隠された意味や言葉の重み、登場人物の心境。
でも、今回お話したいのはちょっと違うことです。大人になっていたからこそ、の喜び
を味わったという話です。

ご存知の方も多いでしょうが、「ズッコケ三人組」という人気シリーズがあります。
私も子どもの頃愛読していました。私同様小学生の頃に読んだきりの方も多いと
思います。6年生だった彼らに出会ったとき、もちろん私も小学生で、彼らより年下
でした。うれしいことに、今でも私は年下なんです。この意味がわかりますか?
もう一度言いましょう。ズッコケ三人組の三人は今でも私より年上です。

 今を去ること2年前、2005年の12月でした。私は長らく遠ざかっていた彼らと再会
したのです。その名も「ズッコケ中年三人組」が刊行されたからです。
 この喜びは多くの人が味わったようで、2006年12月には「ズッコケ中年三人組
age41」が、2007年12月には「ズッコケ中年三人組age42」が刊行されました。
 出版されているのですから、初めて読むオトナはもちろん、今まさに楽しんで読ん
でいる小学生だってこの本を読むことはできます。でもそれじゃだめなんです。
この感慨を味わうには、この贅沢を本当に理解するには、年月を経て、相応の年齢
になってから読むことが大事なんです。たとえるなら、小学校卒業以来音信不通だった
友達に再会したような気持ち、でしょうね。久しぶりのクラス会に出席したような感じ、
でもいいかもしれません。
 長らく離れていたので、私は知りませんでしたが、「ズッコケ三人組」シリーズは2004年
12月に50巻をもって完結していたそうです。「ズッコケ中年三人組」が刊行されたのは
2005年12月。私が小学生だったら、きっと続けて読んでしまったでしょう。

 本の世界でこのような気持ちを味わえるのは、本当にすばらしいことだと思います。
「赤毛のアン」シリーズでも、アンの成長を追いながら大人になったアンと出会うこと
ができます。でも、私は大人になる前に全巻読んでしまいましたし、出版されていると
知っていて読まずにいることはできなかったでしょう。「ゲド戦記」もかなりの年がたって
から4巻以降が刊行されました。もちろん物語の中でも月日は流れていました。でも、
3巻のゲドはすでに若くはありませんでしたし、12歳からいっきに40歳まで時がとんで
しまうほどの驚きはありませんでした。「ズッコケ中年三人組」は、子どもだった読者だけ
でなく、その当時の保護者や先生といった方々からも反響があったとそうです。確か
あとがきにそういう趣旨のことが書いてありました。すぐにあやふやになってしまうのは、
オトナの悪いところですね。それはともかく、この再会の喜びはすでに大人になった、
当時の子ども以上の読者の特権なのかもしれません。

 こうやって考えてみると、この贅沢を味わえる人が限られていることに気づき、残念だ
なあとつくづく思います。子どもの頃、ズッコケ三人組を愛読していた学生さんには、もう
少し大人になってから彼らと再会することをお薦めしたいと思います(余計なお世話?)。
あるいはその頃に再読してもいいかもしれませんね。
ごめんなさい、長くて。



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