2004年の こみみ 

  メリークリスマス (2004.12.24) by A先生

  インターネット上のアンクル・サム (2004.12.08.)

  サバンナのサル (2004.11.25)
 by U先生

  怪獣の名前 (2004.11.10)

  いつかは上手に (2004.10.27)

  聞き書き (2004.10.13)
 by T先生

  夏から秋へ・・・日本の風物詩 (2004.09.27)

  台風の名前 (2004.09.10)

  純文学とは何? (2004.08.26)
 by A先生

  埋もれた財宝 (2004.08.04.)

  暑い夏の思い出 (2004.07.21) 
by U先生

  なぜか金魚・手拭い・朝顔 (2004.07.07)

  ワタシはスタコ その4 (2004.06.23) 
by T先生

  物語中の食風景 (2004.06.10)

  雨の日は本を読みませんか? (2004.05.31)

  いくつまで、生きますか? (2004.5.12) 
by A先生

  本屋大賞 (2004.4.28) 
by U先生

  新聞を読んで (2004.04.14.)

  本のお引っ越し (2004.03.25)

  目的にかなわない本 (2004.03.03) 
by T先生

  災いは忘れた頃にやってくる (2004.02.18)

  温泉もいろいろ (2004.01.28)



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メリークリスマス (2004.12.24) by A先生

今年もクリスマスがやってくる。クリスマスは、キリストがこの世に生まれた日で
あると思っている人が多いのではないでしょうか。実は違います。正しくは、
イエスキリストの誕生をお祝いする、キリスト教の祝日です。

図書館に聖書があるかどうかはわかりませんが、聖書の中には、キリストがいつ
お生まれになったかという詳しい日時は、書かれていません。実際に聖書の内容
(お生まれになったとき羊飼いが野宿していたことなど)から考えると、3月の下旬
などの春であることが予想されます。しかし、マリアが受胎告知を受けた記述など
から推測すると、12月25日や1月6日といった日が考えられるようです。今でも、
ロシアの教会(東方教会)などでは、1月6日を誕生日としてお祝いしています。

では、どうして12月25日がキリストの誕生を祝う日となったのでしょうか。それには、
冬至ということが関係してきます。ローマ帝国では、ミトラ(ミスラともいう)教という
太陽崇拝の異教が栄えた時期(紀元後300年ぐらい)がありました。ミトラの誕生日
である冬至の日(12月25日)は昼の長さと夜の長さが同じ(12時間)です。冬至を
過ぎると、昼が徐々に長くなっていき(ただし北半球)、太陽が出る時間が長くなると
いうことで、ミトラ教では12月25日は大変重要な日でした。

ところが、キリスト教が普及されだし、ミトラ教信者との間で争いがおこるように
なってきました。ミトラ教の信者であった(後にキリスト教に改宗する)時の皇帝
コンスタンティヌスは、キリストの誕生日という説もあった12月25日をクリスマスと
制定し、両宗教のお祝いの日とすることでこの事態を収拾しました。これが、
紀元後320年ごろで、正式にクリスマスが暦に出てくるのは、紀元後336年です。

ところで、12月24日が「クリスマスイブ」と呼ばれるのを知らない人はいないと思い
ます。しかし、正式には「クリスマスイブニング」の略であることを知っている人は
少ないでしょう。
ユダヤの暦では、日没とともに新しい日が始まることになっていました。ですから、
24日のイブニング、すなわち夜は、すでに25日であるクリスマスの日なのです。
だから、24日の日中は、クリスマスイブではありません。お間違いのないように。

日本のクリスマスは、お祭り騒ぎになりがちですが、一度教会に出かけて、静かな
クリスマスを迎えるのも、粋ではないでしょうか。 



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インターネット上のアンクル・サム (2004.12.08.)

 最近は調べ物をするときに、本の代わりにインターネットを使う学生さんも
増えてきました。インターネットならたくさんの情報を一度に、しかも楽に探せる
ような気がしますね。
 でも、よく言われていることですが、インターネットに載っている情報は全て
ではないし、正しくない情報が載っていることも考えられます。情報量が多い
ので、漠然と探しているだけでは、なかなか目的の情報を見つけることができ
ません。
 効率的に検索する方法のご紹介ではないのですが、先日聞いた講演の余談
で知ったたことを、勝手にここでご紹介します。情報検索の助けのひとつになれば
うれしいです。すでにご存じの方もいらっしゃるとは思いますが・・・。

  ドメインを指定する
 URLのに必ずついている、ac.jpや、co.jpなどのドメインを指定して検索するだけ
で、結果がかなり絞られてくるようです。検索をするときに「site:ac.jp」のように、
限定したいドメインをいれて、スペースをあけてから言葉を続けるだけです。
おもしろいくらいですよ。

  3つの検索エンジンを同時に検索する
 Soucefeed (http://search.sourcefeed.jp/)というサイトでは、Google、Yahoo、
MSNの3つの検索エンジンでの検索が一度にできます。これを学術目的に利用
する、という観点でお話があったのですが、同じキーワードで検索してもヒット件
数や結果表示の並び順が異なることにあらためて驚きました。
 それぞれの検索エンジンの特長を知って検索することは、効率よく情報を探す
ひとつの秘訣ですね。

  Google Scholar (http://scholar.google.com/)
 こみみnews(11/18)でも紹介されています。検索結果に引用されている論文
へのリンクが貼られており、関連する論文をたどっていけるそうです。
 インターネット検索の常として、「これが全てではない」ということを頭におく必要
があるでしょうが、便利なツールには違いありません。

  Googleからほかにもご紹介
 http://www.google.com/options/index.html
Googleのサービスも多岐にわたっていますが、ここには、Google提供のサービス
やツールがまとめて用意されています。
 例えば、画像を探すときのGoogle Image Search、自分の端末内を検索できる
ツールGoogle Desktop Searchなどです。
 その中で見つけたGoogle U. S. government。ロゴもさることながらURLが最高です。
 http://www.google.com/unclesam

 検索エンジンもひとによってよく使うものが決まっているかと思いますが、目的
にあわせて、使い分けるのもいいですよ。
 
 図書館のリンク集でも、検索エンジンをいくつかご紹介しています。


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サバンナのサル (2004.11.25) by U先生

薬学の研究はお薬を通して「人類の健康・福祉に役立つ」というかなり具体的な
目標があり,学生のみなさんも研究室配属されてからは,その一端を担っている
ことと思います.しかし科学の研究の中には,直接「何かの役に立つ」ということを
目的としてはいないものがあります(役に立たないという意味ではありません.
あくまでも「直接的に」という意味で).例えば,進化の研究もその1つであると
思います.

この間,進化の研究に関するテレビ番組が放映されていて,とても面白かった
ので,今回ここに紹介します.

生命は太古の昔,海に生まれました.そして,魚類のような生命が海の中で
生存競争を行っていました.強い者が勝ち,弱い者が負ける,まさしく弱肉強食の
世界です.そこで,弱い生き物は,海から川に追いやられ,そこで生活するように
なりました.

そして,また進化の過程で,川においても弱者,強者が生まれ,弱い者はどんどん
住み難いところへ追いやられていきます.川において住み難いところ,それは
川縁です.地上に生息する樹木が枯れて,川と陸との境界域には多くの倒木が
入り組んでいて,移動も大変な住み難い環境です.ですので,川縁に暮らす魚は,
しだいに前ビレが発達して,前ビレを「手」のように使って,水中の木々を除けて
移動していったと考えられます.これが「手」の発達を促しました.

そして,弱者は外敵が居ない地上を目指し,手を使って,水中から地上を目指した
のです.そんな生命が地上に暮らす動物の祖先になったわけです.

この研究は,つまり「強い者が必ず生き残る」ということだけではなく,うまく適応
できたり,現状をなんとかしようと努力したものが進化し,生き残ったのだという
ことを示しています.単純な「力」ではなく,その本質に潜む真の意味での「強さ」は
「努力」なのだと思います.

また,この話も考えさせられました.我々の祖先,サルは森に住んでいました.
森には食べ物がいっぱいあり,また木の上で生活すれば,恐い肉食獣に襲われる
心配もありません.でも,そんな森を捨てて,食べ物がほとんど無いかもしれないし,
肉食獣に襲われる心配もあるのに,サバンナに足を踏み入れたサルがいました.

「この森の向こうに広がるサバンナ,そこには何があるんだろう?」そんな疑問を持ち,
どうしても知りたいサル,好奇心旺盛で,危険と分かっていても,それより「知りたい」と
いう気持ちの強いサルが,サバンナに足を踏み入れたのです.

我々人類は,そんなサルの子孫なのです.ですので人間には「飽くなき知的好奇心」が
遺伝子に組み込まれているのです.

昨今,努力すること,一生懸命であることを「格好悪い」とする風潮がありますが,
森の中で安穏と過ごすサルではなく,何かに一生懸命なサバンナのサルでありたいと
思いました.

こういう研究は一見,今の生活になんら役に立たないように感じますが,生命の
ロマンを通し,過去を振り返るからこそ分かる「現在」というものがあることを,我々に
教えてくれています.


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怪獣の名前 (2004.11.10)

「音象」というものがあるそうです。
ことばを発音したとき、その意味とは別に、潜在的に脳に描かれる印象。
単純に、ことばの「音」の力によるものです。

最近話題になっている『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』という本が
あります。先日、この本の著者である黒川伊保子さんが、テレビ番組で
この「音象」のお話をしていました。

例えば、S音(サシスセソ)は爽やかな感じ。K音(カキクケコ)は硬い感じ。
N音・M音は優しい感じ。G音は強い感じ。
言われてみると、なるほど、と思うこれらの「音象」。なぜそう感じるのかを
黒川氏は科学的に解明します。

「音象」は、企業の現場では既に意識されていて、「車の名前にはK音(C音)」
「女性誌はN音とM音」「お菓子の名前にはP音」「怪獣の名前はG音」など、
ヒット商品の法則があるのだそう。

確かに車の名前には「カキクケコ」が付くものが多いですね。黒川氏の解明は
こうです。
「Kの音を出すとき、私たちは喉を硬く締め、強く息を出して喉をブレイクする。
喉をブレイクスルーした息は、最速で口腔内を抜ける。最速で抜ける息は
唾液と混じらないので、ことばの音の中で最も乾いている。」
K音を発音するときの、硬さ、強さ、スピード感やドライ感。それが快適な車の
イメージに繋がるようです。

女性誌の「ナニヌネノ」「ン」や「マミムメモ」は、鼻腔を響かせる、上顎に舌を
密着させてはがす、などの発音方法が、内向的で私的な安心感をもたらす
からだと言います。
お菓子の「パピプペポ」は、発音するときに唇が気持ちよく、子供が好む音
だからだそうです。

それで、怪獣の名前は・・・。
こちらをぜひご覧くださいね。↓

『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』  請求記号:811/KU(新書コーナー)

黒川伊保子オフィシャルサイト
 http://www.ihoko.com/

ブランドの未来を読む サブリミナル・インプレッション
 *黒川氏の会社 株式会社感性リサーチ
 http://www.kansei-research.com/

いい煎餅だねっと 黒川伊保子の”美味しい生活”
 *テレビ出演のウラ話も掲載されています。
 http://www.e-senbei.net/cgi-bin/colum/sfs2_diary/


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いつかは上手に (2004.10.27)


図書館の本には、一部ですが透明なクリアカバーのようなものをかけてあります。
公共図書館などではすべての本につけているところが多いのですが、当館では
1年ほど前から一部の本に使用するようになりました。(このカバーを当館では
ブッカーと言います)

ブッカーをつけることには次の利点があります。
  ・本の汚損を防ぐ
  ・本来の表紙をつけたまま整理可能

ブッカーをつけない場合、整理しやすくするためにもともとの表紙はすべて取って
しまいますが、こうすると背表紙の題名が見えにくくなったり、表紙を取る前とは
別の本のようになってしまったり、という問題がありました。ブッカーによってこの点が
解決でき、使いやすくなったと思われます。

それならすべての本にブッカーをかければ良いのに、と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかしこれが、慣れない職員(自分です)にとっては大変な作業でして...

ブッカーのつけかたはここをご覧ください
http://www.booker.co.jp/8.htm <(株)日本ブッカーのページ>

説明は簡単ですが、実際にやってみると難しいのです!粘着力のあるカバーは
すぐに貼りついてしまい、気付くとあっちもこっちもくっついてどうしようもない状況に。
しかも貼り直しはできません。

初めて私がブッカーをつけた本は見るも無残なできあがりでした。何の本かは
申しませんが、この本を手にされた方はきっとひと目でわかるでしょう。
表紙も裏表紙もデコボコ・シワシワ、ブッカーの中に空気が入ってまだら模様に。
利用者はもちろん、本に対しても申し訳なくなるようなできあがりでした。

上手な職員の「慣れですよ」という言葉をはげみに頑張ってはいますが、1冊上手に
できたと思ったら次の本で失敗し、という感じで目に見えて上達したとは思えないのが
悲しいところです。

どうか館内でヘタクソなブッカーがついた本を発見しても、修行中と思ってアタタカク
見守っていただきたいと思います。間違っても「これは失敗作?」などと訊かないで
くださいね!


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聞き書き (2004.10.13)  by T先生

昨年、ベストセラーになったある有名な大学教授の書いた本が「聞き書き」だったそう
です。

「聞き書き」って耳慣れない言葉ですが、どうやら一種の業界用語みたいなもの
かもしれません。ライターという職業の方達が著者とされる有名人にお話をうかがって
それを文章化してあげる。出版社はそのライターの書いたものを有名人の著作として
売り出す。これを「聞き書き」と言うようです。

たとえば、ジェイミー・オリバーくんが「僕は今まで数冊の料理の本を書いたことに
なってるけど、それってみんな僕が話したことを別の人に書いてもらっただけで、
僕自身は書いてはいないんだよね。だって僕は勉強が苦手だったんだもん。」なんて
言ってるのが「聞き書き」に当たるんだと思います。

ジェイミー・オリバーくんはシェフですから、書くことが苦手であってもしかたないでしょう。
ジェイミーの写真もいっぱい入った本だし、彼の言っていることの内容が間違いなく
文章化されているのであれば、「ジェイミーの本だ!」てみんなが思ってもいいのかも
しれません。

しかし、大学教授が「聞き書き」の本を自分の著作として売り出して、それがベスト
セラーになってしまうのは、甚だ心配な事態だと思います。
大学の教員には社会性があります。大学の先生が書いた本だから信用して良い、
という一般社会の認識が根底にあるところへ「聞き書き」の本を売ってしまう、そういう
無責任さにぞっとします。

また、大学の教員は研究者でもあります。研究者にとって自分の名前の入った
著作物は、その内容の全てについて責任を負うべきプロダクトです。たとえライターの
書いたものを後からチェックして直したとしても、出版物が単なる新書だとしても、
初めから自分が書いていないのだとしたら、それは自分の著作として出版すべきでは
ないと思います。せめてライターの名前を入れて共著にすべきではないでしょうか?

一般の読者は高いお金を払って本を購入し、その本の一字一句を大学教授が書いた
ものと信じて読んでいます。大学の教員は、一般の読者に対しても時間と労力を
惜しまず、プロダクトを提供すべきでしょう。たとえエッセイであっても「聞き書き」を
許してはいけないと思います。

巷には「○○大学教授の本」があふれています。そのうちの何割が「聞き書き」なのか、
実態はわかりません。本を手に取るとき、「本当にこの人が書いたのかな?」て疑わ
なくてはいけない、そんなヘンな時代になってしまったこと、心に留めておくべきだと
思います


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夏から秋へ・・・日本の風物詩 (2004.09.27)

今更で恐縮だが、8月から9月にかけて、月を跨いで3日ばかり家を空けた。
祖母が亡くなったためである。103歳と10ヶ月。自宅で迎えた静かな最後だった。

その一月ほど前には、自宅から見える花火に、小さな体を丸くして
「きれいだねえ、すごい。」と、夜空を彩る光に見入っていたそうである。
気丈な人で、100過ぎてなお、老年を迎えた子供たちを仕切ることをやめなかった。
「尺球300連発」や「尺球100発同時打上げ」と、今年の花火は一際、盛大だったと聞く。

日本の夏の風物詩、花火。来年は私も行ってみよう。
http://www.kisnet.or.jp/~kichi/hanabi2004.html  ←(祖母の見た最後の花火)

さて、家に帰ると、いつもながら雑然としている。思わず、口に出そうな一言を飲み込む。
おまけに台所に入ると、何やらガスレンジの上に妙なものが置いてある。
「あっ、七輪買ってきたよ!今、サンマ焼いてやるから。」
後ろから同居人の声。 立ち上る煙、たちこめるにおい。
花火から秋刀魚へと。 季節は一気に秋へと移ろったのである。

「何だと思う?」朝からごそごそやっていた同居人が差し出したのは、2g麦酒の空き缶である。
しぼられた頭の方が1/3ほどのところで切り取られている。
「骨壷!」
「誰のだよ?!全く!消し炭入れだよ。」やはり・・・でも、これを想像できるのは○十代以上か?

とはいえ、七輪の出番はやたら多い。たぶん、件の消し炭入れ?も。
何より、炭火焼のうまさを実感できる。ただし、秋刀魚の焼ける煙と匂いは半端でない。
狭い庭で七輪前に蚊と、いや、サンマと格闘する同居人には悪いが、漂う匂いがサンマに変わる頃、
私は、さりげなくガラス戸を閉め、中で焼き上がりを待つこととしている。
世間では「秋刀魚に味ポン」とか言っているが、頑固に大根おろしとお醤油でいただく。
具材は、鶏肉やステーキ肉、玉蜀黍や椎茸、イカにホタテ・・・何でもいける。
お手軽に小さな秋を楽しみたい方、一家に一台。七輪焼きはお勧めです。

そして、「食欲の秋」が満たされたら、「読書の秋」
図書館にも足をお運びください。活字に親しむに、いい季節を迎えました。


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台風の名前 (2004.09.10)

今年は台風が多いですね。台風の当たり年だそうで、
すでに観測史上最も多い7個もの台風が日本列島に上陸したそうです。
上陸個数の平均が3個だというので、倍以上の数ですね。

さて、台風の呼び方ですが、欧米では「フロイド」などと人名ですが、
日本では「18号」とか番号で呼んでいますよね。
日本では台風に名前はつけないのかと、ちょっと調べてみました。

すると、日本独自の名前はないものの、アジア地域共通の名前が
ちゃんとあるのだそうです。
各国が名前を提案し、その中から決められいて、
2000年から名前のリストの順番に従ってつけられているのだそうです。
日本では、テレビなどの天気予報では使用されていませんが
船舶用には番号と共に名前も使用されているとか。

では、どんな名前があるのかというと、
  「バビンカ」 (マカオで、"プリン"の意味)
  「ラナニム」 (ミクロネシアで、"「こんにちは」")
  「ダムレイ」 (カンボジアで、"象")
  「ロンワン」 (中国で、"龍の王")
  「キロギー」 (北朝鮮で、"雁")
  「カイタク」 (香港で、"啓徳(旧空港名)")
  「ドリアン」 (タイで、"果物の名前")
  「ヤギ」   (日本で、"やぎ座")
などなど色々です。
なんだかお国柄がでてるような感じで面白いですね。
最近日本に来た台風18号は「ソングダー」(ベトナムの川の名前)
だそうです。

ちなみに、被害の大きい台風は9月に来ることが多いそうです。
9月もまだ3分の2が残っていますが、今年はすでに強い台風が幾つも来ているので
もう来ないで欲しいものですね。


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純文学とは何? (2004.08.26)
 by A先生

先日第135回の芥川賞が発表された。受賞作品はモブ・ノリオ氏の介護入門であった。

そもそも芥川賞とは何ぞやという人も多いと思う。簡単に説明する。芥川賞とは、
おのずと知れた芥川龍之介(知らない人は恥ずべきであろう)にちなんで昭和10年に
制定された純文学短編に与えられる賞である。純文学に与えられる賞なのである。

純文学とは、辞書によると、通俗文学や大衆文学に対して多く売れることを期待せず、
純粋に芸術的な意図の下に作られる文芸作品と説明されている(日本には、大衆文学に
対する賞も芥川賞と同時に発表されており、直木賞と呼ばれる。)。

なぜ、私が純文学という設定に驚いたか、それは私が頭の中で思い描いている純文学と、
昨年の芥川賞受賞作品がかなりかけ離れていたためである。

昨年受賞したのは、皆さんと年が離れていない2名の女性(金原ひとみと綿矢りさ)で
あった。彼女らの作品、「蛇にピアス」と「蹴りたい背中」は図書館にもおいてあるが、
町でも大変話題になった。人々の関心を多く集めたのは、作品よりも2名の若い女性
個人に対してであったようにも感じた。

両作品ともいい意味で表現すれば、現代社会を鋭く描く作品である。しかし、万人に
受け入れられるものではなかったように思う。特に「蛇にピアス」は表現が強烈な部分も
あり、年齢層が上の人にすんなりと受け入れられなかったのも、もっともであると感じた。
私には、これらが純文学としていまだ受け入れられない。

さて、今回受賞したのは、モブ・ノリオという34歳の男性である。彼は受賞の前から
作品ではなく別のことで話題になっていた。彼は、公の場に現れたことがなかった
のである。また、本名や生年月日なども不明のままであり、もし受賞したら明らかに
するのだろうかという興味が渦巻いていた。

受賞が決まり、彼はインタビューに答えるなど、初めて顔を公にみせた。といっても、
本名は明らかにせず、常にサングラス着用なのだが。この謎の青年が芥川賞受賞に
対して朝日新聞でのコメントは、これまた型破りなものであった。是非探し出して読んで
もらいたい。

そんなこんなで、介護入門という受賞作をよんだ。この作品は、大麻を吸いながら
おばあちゃんの介護を行っているという設定で独白の形で書かれている。
最初はとっつきにくい文調と体裁(改行されていない)であるが、読み進めていくうちに
結構面白いと思えてくるのである。審査員の石原慎太郎(東京都知事。この人も芥川賞
受賞者)などは、芥川賞の選評でこき下ろしているが、私にとってはそれなりに
いろいろなことを考えさせられた。結構、いろいろな意味で深いメッセージがこめられて
いると思う。

改めて芥川賞の受賞者を見ると、そうそうたるメンバーが並んでいる。井上靖、
阿部公房、松本清張、吉行淳之介、遠藤周作、開高健、大江健三郎、丸谷才一、
宮本輝などである。私は、これらの人々の作品は始めから純文学として納得できた。
また、最近の受賞者である村上龍、柳美里、花村萬月の作品も最近なかなかだと
感じ始めている。そうすると、昨年の二作品も後になってそのよさがわかり、自分の
中で純文学として受け入れられるのかとも思う。

介護入門は、その点ではすんなりと受け入れられたが、宮本輝氏が次の作品を見て
みないとこの作者を評価できないと書いていることやモブ氏自身も次作品に対する
危惧があるように、私も一発屋で終わるかなという気持ちが正直ある。
この私の浅はかな考えを打ち破る作品を期待したい。

(※図書館注)
 『介護入門』  請求記号:913.6/MO (3F)
    あるいは、 「文藝春秋」2004年9月号 (3F/一般雑誌コーナー)
 『蹴りたい背中』 請求記号:913.6/WA (3F)
    あるいは、「文藝春秋」2004年3月特別号 (3F/一般雑誌コーナー)
 『蛇にピアス』 「文藝春秋」2004年3月特別号 (3F/一般雑誌コーナー)


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埋もれた財宝 (2004.08.04.)

 朝夕に本を片付けていると、時々、こんな本があったのかぁ〜という本と
出会います。どこで見つけてきたのか、驚きを超えて感心してしまいます。
 おもしろい本はあまりないと思われがちな当館ですが、意外な本があったり
して、探検するとおもしろそうだと思っていました。
そこで今回は「埋もれた財宝」を求めて3階をうろついてみました。

 図書館員ですので、どうしても分類番号順に歩いてしまいます。最初に目に
ついたのは宗教関係です。意外と多いのですが、これはご存じのかたも多い
でしょうからとばして、歴史に向かいます。目をひくのは「江戸もの」です。
 『江戸の音』 田仲裕子 河出書房新社 210.5/TA
 ・『江戸の「闇」を読む』 浅野浩 NTT出版 210.5/AS   など
ちなみにOPACで「江戸」を検索すると、歴史に限りませんが45件もヒットします。

 続いて経済・教育あたりを歩くと、埋もれるようにしてこんな本が出てきました。
 ・『おいしい古代ローマ物語:アキピウスの料理帖』 上田和子 原書房 383.8/UE
再現レシピも載っています。

 比較的利用されている数学コーナーでは、文系の私がおもわず読んで
みようかと思うような本が眠っていました。
 ・『美しい数学: 集合』 安野光雅 ダイヤモンド社 415.1/AN
安野さんといえば、『旅の絵本』のイメージですが、他にも『散語拾語』など
当館でも変り種(?)を所蔵しています。

 友達から頼まれた探し物をしていた時、化学の中にも変わった本を発見!
 ・『化学者のための硝子細工法』 高木貞恵 三共出版 432.1/TA
古い本ですが、ガラスを加工して化学実験の道具を造るらしいです。

 一度は見てほしい、きれいな本もご紹介します。
 ・『ベリー侯の豪華時祷書』 レイモン・カザル 中央公論社 724.346/CA
背表紙が日本語ではないので、請求記号と赤くて大きな本、を頼りに探してください。

 これはないだろうと思って試しに検索したら、あって驚いたのがこれです。
 ・『古代への情熱』 シュリーマン 岩波文庫 文庫コーナー(回転書架)
歴史で昔習いましたね。トロイを発見したシュリーマンの自伝です。
他にも回転する文庫棚にあるものは、有名どころをおさえていますので、
読み返したいとき、ついに読んでみようと思ったとき、探してみてください。
『赤毛のアン』から『こぶとり爺さん』までいろいろそろっています。

 最後に、ずいぶん前に購入した本ですが、ぜひご紹介した本があります。
『モリー・先生との火曜日』 ミッチ・アルボム 日本放送出版協会 936/AL
以前読んだきりでしたので、読み返して紹介しようと思ったら、貸出中でした。
とても、うれしい驚きです。みなさん、とにかく手にとってめくってみてください。

 図書館には、まだまだ財宝が眠っています。今回も紹介できずに泣いた本
がたくさんあります。みなさんの足でぜひ、探してみてください。


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暑い夏の思い出 (2004.07.21) by U先生

旅は貴重な経験をすることができます.非日常の経験...

筆者はカンボジアのアンコールワットの遺跡が見たくて,数年前の夏,旅行に
出かけました.
じっくり自分のペースで見たかったので,ツアーではなく,自分で手配して,
自力で廻りました.現地ガイドを雇って案内してもらった日もありましたが,
1日はただ,気の赴くまま,ガイドを付けずにぶらぶらと観光しました.

アンコールワットというのは,正確にはアンコール遺跡群で,数十の遺跡が
あちこちに点在しています.
その中の,あまり有名でない遺跡でのこと.小学校1,2年生の男の子が,
親しげに話しかけてきました.
カンボジアの子供はとても人なつっこくて,宿の近くでも,寄ってきて遊ぼうと
せがんだりしていたので,そんなことかなと思ったら,けっこう流暢な英語で
遺跡の説明を始めました.

筆者「君はガイドなの?」
男の子「違う.ただお話ししているだけ.」

でも話す内容は,世間話ではなく,完全に観光ガイド.
筆者「ガイドをしてお金をもらうのは分かるけど,押し売りをしちゃだめだよ.」
男の子「ガイドじゃないから.ただお話しているだけ.」

そうやって,20-30分,その子は一緒に付いてずっと話しながら,観光しました.
そして,遺跡を見終わって,帰ろうとすると...

男の子「お金を頂戴」
筆者「ガイドじゃないって言ったのに?!」
男の子「学校に行って勉強するのに,お金が要るの」

ここで筆者がお金を払ったか,払わなかったか,それは大した問題ではなく,
小学校1,2年生の小さな男の子が流暢な英語を話すことに驚嘆しました.
自身や家族が生きていくために一生懸命,勉強して,話せるようになったのです.

詳しく話を聞いたら,お金が無くて,もちろん英語の学校には行けないから,
いろんな親切な外国人から英語を少しずつ習ったとのこと.(英語学校どころか,
通常の学校も半分ぐらいしか行ってないらしい)

少なくとも中学・高校と6年間英語を学んでも,彼ほど流暢に話せる日本人って
数えるほどなのに(自身も含めて).彼は受験英語は出来なくても,生きていく
ための英語は話せるのです.生きていくために,必死になって学べばそれは身に
付くんだなって.日々の自身のいろんなことへの「甘さ」を恥ずかしく思ってしまい
ました.

ハングリーさ...自身も含め今の多くの日本人が失ってしまったんじゃないかなと
思います.
またいつかアンコールワットを訪れたいなと思っています.

.....暑い夏の日の思い出でした.


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なぜか金魚・手拭い・朝顔 (2004.07.07)

ここのところわけあって、金魚やら手拭いやら、「江戸の夏」に関する調べものを
していました。ネタに困ったので、その中からいくつかご紹介。
きっとなんの役にも立たないけれど、季節柄、ま、いいか。

金魚の部屋 http://www.fish.metro.tokyo.jp/kingyo/
東京都水産試験場のサイト。
「金魚の病気」には本気を感じます。「金魚すくい企画」早く用意して欲しい!
「金魚のしっぽ」ネーミングに座布団一枚。

かまわぬ http://www.kamawanu.co.jp/
手拭い専門店「かまわぬ」のホームページ。

かまわぬだより
(ピエ・ブックス 2003.7 ISBN:4-89444-286-8 1300円+税)
江戸時代から伝わる手拭い柄のポストカードブック。暑中見舞いに最適です。
柄の持つ意味の解説もあり、ポストカード部分を全部切り取ってしまっても、
この部分は残るというスグレモノ。
また、2つ折りにして掛けられたカバーの内側には、手拭いの使用方法(図解)が。
(すみません。図書館では所蔵していません。)

手拭いのススメ http://media.excite.co.jp/ism/029/
都市生活者のためのWebマガジン「excite.ism」の手拭い特集です。

高虎商店 http://www.ntv.co.jp/burari/020921/info02.html
朝日新聞夕刊「くらしの良品探訪」で見つけた江戸手拭いの老舗。
昨年の暮れに行ったところ、今年の干支のさる柄の手拭いがたくさんありました。
今年の暮れには、また行ってしまいそうな予感。

おりがみくらぶ http://www.origami-club.com/
アニメーションを見ながら折れる折り紙のサイト。
金魚やら朝顔やら、そのほかたくさん。

朝顔市 http://www.asagaoroad.com/
入谷中央商店街公式ホームページ。
7/6-8、入谷の朝顔まつり開催中です!


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ワタシはスタコ その4 (2004.06.23) by T先生

また夏になる。カメオが我が家にやって来てから一年が経つが、奴はよく喰う
せいか、やたらとでかくなってきた。今では甲羅の上でワタシがねそべることも
できる。それでも性格がおっとりしているのでワタシとしてはかなりつきあいやすい。

カメオはとにかく善人である。奴のお気に入りの「博士の愛した数式」が
本屋大賞をとった時の喜びようはすさまじかった。我が事のようにはしゃぐので
水槽から水がこぼれてワタシの散歩コースが水浸しになってしまったほどである。

どういう賞なのかはよくわからないが、「芥川賞なんかよりずっと価値があると
思いますよ」とカメオは言っていた。センセイもこの点については同調しているようで、
件の本だけは絶対に机の上からおろさない。ワタシに齧られたくない大事な本って
わけだ。

それにしても、賞ってのは不思議である。賞をとったというだけで、「凄い」って
ことになるわけで、一気に本が売れるらしい。単純なカメオやセンセイみたいな
連中にとってはお墨付きみたいなものがないと本も選べないのであろう。なんと
嘆かわしいことか。

そういえば、センセイは昨年評判が高かったという「半身」をさっきまで読んで
いたが、読み終わった直後に机の下に落とした。さっさと落としてくれたところを
見ると、あまりお気に召さなかったらしい。

やっぱり、他人の言うことをまるっきり信じると痛い目にあうわけだ。「半身」なんて
センセイの好みに合うわけがない。文庫本を手にした時から本人が気づけばいい
のに、無理して最後まで読むんだから妙に律義である。

結局、本なんてものは、自分を信じて選ぶべきモノなわけで、他人からの評価に
振り回されるべきではない。センセイももうちょっと心眼を養うべきだと心から思う。


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物語中の食風景 (2004.06.10)

 誕生日プレゼントに本をいただいた。
綺麗な小ぶりの風呂敷をほどくと、中には「村上レシピ」(台所で読む村上春樹の会)が2冊あった。
「ノルウェイの森」(村上春樹著)を思い出させる、鮮やかなオレンジとグリーンの装丁が目を引く。

 今さらめでたくもない、そんな記念日に色がついた。
それにしても、こんな気の利いた贈り方があったのかと、つくづく感心してしまう。
最近、ハヤリ(流行)の手ぬぐいもいいが、風呂敷もなかなか負けてはいない。

  村上春樹の作品には、多くの食に関係した場面が登場する。
どれもおいしそうで、器用に調理されて、こだわりの一品が出来ていく。
「村上レシピ」はそんな彼の作品にある、お料理のレシピ集である。
そして、物語の中の一節が、レシピの間に挟まれていたりして、
1冊で2度おいしい?心憎い、おしゃれな本である。

 外はジメッと梅雨空。
時には、登場人物の一人になって、おもむろにパスタを茹でる・・・
グラス片手に、サンドイッチをほおばってみる・・・
案外、贅沢な時間を過ごせるかもしれない。

 物語の中の食風景・・・
忘れられない食べ物がある。
「壇流クッキング」の中だっただろうか?
掘りたての1本の筍に、醤油をつめて蒸し焼きにする、という豪快料理。
筍の季節になると思い出す。実際試したこともある。

 連休で渋滞の道路を眺めながら、数人でバーベキューを楽しんでいた。
例の焼き筍の話になって、それではと、スコップ片手に筍堀りへと向かった。
しかし、どう見ても育ちすぎかなあ、という感じの筍ばかり。
掘るというより刈り取る感じではあったが、とにかく持ち帰って焼いてみた。

 山のものを侮るなかれ。
あく抜きを省略できるのは、本当に若い「竹の子」の特権である。
残念ながら、私たちが手にした筍は・・・・
?十路突入?記念すべき誕生日。
現在の私の如く?薹がたっていたようである。

 よって、未だにこれは幻の筍料理となっている。


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雨の日は本を読みませんか? (2004.05.31)

そろそろ梅雨の季節ですね。休日、雨で外出が億劫な時などありませんか?
そんな時は読書はどうでしょう。 
最近図書館で受け入れた新着図書から、お薦めの図書を数冊ご紹介します。


フューチャー・イズ・ワイルド : 驚異の進化を遂げた2億年後の生命世界
 ドゥーガル・ディクソン, ジョン・アダムス著 ダイヤモンド社 , 2004.1
 請求記号:467.5/DI

 未来の地球の生物を想像して書かれた本です。CGで描かれた挿絵もリアルで
 見るだけでも楽しめます。

ウェクスラー家の選択 : 遺伝子診断と向きあった家族
 アリス・ウェクスラー [著]  新潮社 , 2003.9
 請求記号:493.74/WE

 遺伝病であるハンチントン病の原因遺伝子の発見と、発病の有無がわかる
 遺伝子診断に対する葛藤を書いたノンフィクション。読み応えあります。

13歳のハローワーク
 村上龍著 ; はまのゆか絵 幻冬舎 , 2003.11
 請求記号:366.29/MU

 職業紹介の子供向けの本なので、将来の進路をほぼ決めている薬学部の
 学生さんたちには必要ないかもしれませんが、参考に読んでみても楽しいですよ。

ちなみに、図書館で受け入れした新着図書については、図書館ホームページの
「OPAC」内の「新着案内」からわかるようになっています。
本を探すときの参考にしてくださいね。


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いくつまで、生きますか? (2004.5.12) 新メンバー!A先生のこみみです。

今回初めてこみみのメンバー(?)に引きずり込まれて、書くこととなりました。
輝かしい第1回目は(2回目以降があるかは評判しだい)、寿命の研究について
です。

今年の4月12日に4歳の誕生日を迎え、レイラ姫と仲むつまじく暮らしていた
アメリカミシガン州のヨーダは、4月22日にその長い一生を終えました。
この文なんか変だと感じませんか。4歳なのになぜ長い一生なのでしょうか。
実はヨーダは、マウスなのです。マウスの4年はヒトにあてはまめると136年に
相当するそうです。ヨーダは、性行動も見られたというのですから、驚きです。

ヨーダは、2000年の4月10日にUniversity of Michigan の Richard A Miller 博士の
研究室で生まれました。Miller博士は、老化と免疫の関係について研究を行って
おり、私も実は2000年の11月にMiller博士を尋ねていったことがあります。
そのときMiller博士は、長寿のマウスを作っているのだよと言っていましたが、
まさかヨーダがそのときすでにいたなんて。ヨーダは、長寿系統のマウスを交配
していくことで産み出され、普通のマウスよりは少々小さいようです。

ところで、寿命の研究について、最近では分子レベルでの解析が行われています。
線虫やショウジョウバエを用いた実験系で、インスリンの信号が関係していることや
ヒトの長寿家系の分析からリポタンパク質の産生に関わるタンパク質の遺伝子が
変異していることなどが明らかにされています。このように寿命が科学的に解明
されつつあります。

国会では、年金問題(今の状況では年金にまつわる問題といった方が適切かも
しれませんが)が盛んに議論されています。また、新聞やテレビ上では、老後いくらの
年金がもらえるかが試算され、現在の収入の何%にあたるかも問題になっています。
国立社会保障・人口問題研究所が発表した資料によると、今から20年後には29%の
人が、45年後には36%の人が65歳以上の老年になるそうです。45年後といったら
ちょうど在学している学生が老年にさしかかる頃。その頃には、3人に1人以上が老人
なのです。このように老人と呼ばれるヒトが日本では急激に増えるのです。

寿命がのびることを歓迎する人は多いですが、老人が増えることを歓迎する人は
あまりいないようです。こんな矛盾を打ち破る意味でも、健康に年をとることが重要に
なってきます。様々な寿命の研究により、健康に長生きする秘訣が見つかる日を
期待しましょう。


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本屋大賞 (2004.4.28) by U先生

図書館のHPなのにいつも「本」とは関係のない話題だったので,今回は本に
関するこみみです.

芥川賞や直木賞など著名な文学賞はみなさんもご存じだと思いますが,最近,
新たな賞が生まれました.その名は「本屋大賞」.
他の文学賞の多くは作家や出版社が選考委員となりますが,この賞は町の
本屋さんの店員が選ぶという,今までとは全く違った選考方法による賞です.

作家や出版社は本を作る側であり,プロ中のプロですから,少し読者との距離を
感じずには居られません.しかし,本屋大賞は町の書店員が選ぶわけですから,
読者に近い立場の「本のエキスパート」が選ぶ,真の意味での「お薦めしたい
良い本」と言えます.

その栄えある第一回の大賞には「博士の愛した数式」(小川洋子著・新潮社)が
選ばれました.

筆者はこの本を書店で見つけて,何気なしに買って読んで,久しぶりの小説を
読んで感動しました.筆者はほとんど小説を読まないので,小説を買ったという
だけで珍しいことで,さらにそれに感動したというのは事件といってもいいぐらいの
出来事でした.買ったときはそれほど売れている本でも無かったので,それが
「大賞」に選ばれたのは,なんかとても嬉しくなってしまいました.

物語は,元数学の大学教授で,1975年の事故により,それ以降記憶を80分間しか
保てず,以来数学雑誌の懸賞問題にしか取り組めていない阪神の江夏ファンの
「博士」と,そこに家政婦に来た「わたし」と,わたしの息子で阪神タイガースの
熱烈なファンである小学生「ルート(博士が名付けたあだ名)」との関わりを描いた
ものです。

決して大きな事件が起きるわけでもなく,淡々としたこの3人の日常生活がさらりと
書かれているのですが,博士の優しい気持ち,3人の根底に流れる博愛に,
そして全体に流れる「切なさと温かさ」に,気が付くと涙が止まらなくなっています.
胸の奥深くを,細い針でそうっと貫かれる様に,切なくて,それでも読後は深く
納得のゆく満足感が心を満たしてくれるといった感じです.

ゴールデンウィーク,ぽかぽか陽気の公園で,のんびりとこんな読書は如何で
しょうか?

(※図書館注)
 「博士の愛した数式」は図書館で所蔵しています(請求記号 913.6/OG)。
 これを読んで興味を持たれた方はどうぞご利用ください。


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新聞を読んで(2004.04.14.)

 最近、といってもここ1ヶ月くらいの間に読んだ記事からいくつかご紹介します。

@「やればできる、〜」続報
 ちょうど1年前にご紹介した「やらなければできない」の方の訃報に接しました。
 あのときはお名前も覚えていなかったのですが、新聞で偶然見つけたその
 お名前は訃報の記事にありました。鳥取大学名誉教授遠山正瑛先生です。
 記事の受け売りですが、もともとは砂丘農業の技術開発に取り組んでおられ、
 プロジェクトXで紹介された砂漠の緑化活動を始められたのは退官後、それも
 80歳を過ぎてからだったそうです。ボランティアを募り、昨年までに植林した
 ポプラはその数300万超。まさに「やればできる」ですね。
  その功績は中国はもとより広くアジアでも認められ、昨年にはアジアのノーベ
 ル賞と呼ばれる「マグサイサイ賞」も受賞されています。
  残念ながら当館では、遠山先生の著書は所蔵していません。興味のある方は
 書店または公共図書館へ走ってくださいね。

 「砂漠緑化に命をかけて」 TBSブリタニカ 1992
 「よみがえれ地球の緑」 佼成出版社 1989


A帝京関連ニュース2題
 帝京大学に関するニュースもありました。
  その1: 戦没者遺骨DNA鑑定
 厚生労働省が現在行っている、旧ソ連地域で抑留されて亡くなった方の
 遺骨の鑑定に、医学部法医学教室の先生が携わっていらっしゃるそうです。
 法医学教室というと、ついサスペンス・ドラマを思い出して犯罪鑑定のイメー
 ジがありましたが、鑑定は犯罪とは限らないんですね。
  その2: セカンドオピニオン外来開設
 この4月から医学部附属病院でも、セカンドオピニオン外来が開設された
 そうです。記事によると昨年の医療法改正でセカンドオピニオン実施の広告
 をすることができるようになり、セカンドオピニオン外来の新設が相次いでいる
 とか。健康なときには考えもしない、病院の診療科のことですが、普段から
 このような知識を得ておくと、ちょっと安心感がありますね。


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本のお引っ越し (2004.03.25)

先日お引っ越しをしました。
ついでに不要なものは処分しようと、10年ぶりくらいに持ち物を整理しました。

いちばん問題だったのは、洋服類と本でした。
特に本は、本棚にあるだけだからたいした量ではないと高をくくっていたところ、
あちこちからどんどん出てくるんです。ハードカバーのほか、文庫本、絵本、
お料理の本、辞典、事典、雑誌・・・。結局かなりの量になりました。

なにかの雑誌で読んだ「整理術」によると、
○洋服類…2年間一度も袖を通していないものは処分する
○本…過去1年間に読んで(開いて)いないもの、未来の1年間にきっと読まない
だろうものは取りあえず処分する(必要になったらまた買えばいい)、とありました。
なるほど・・・。

実践してみたところ、洋服類はそのルールをもとに片付けることができました。
けれど、本はだめ。ルールに当てはめるとほとんど捨てることになってしまいます。
じゃあ過去・未来のそれぞれ2年間なら?5年間なら?とやってみましたが、
なかなかうまくいきません。

例外がたくさん出てきてしまうんです。
学生のときに使ったもので、なんとなく捨てられない、とか、
この先5年間は読まないかもしれないけれど、いつか必ず読む、とか、
昔読んで、もしかしたらもう読まないかもしれないけれど持っていたい、とか、
まだ読んでいないので中身はよく知らないけれど、装丁が好き、 とか。

結局、総当たりで検討することになりました。この本を「読むか読まないか」では
なく、「持っているべきか否か」。

本って不思議なものですね。本来なら、読んで初めて価値があるはずのもの
なのに、読まなくても持っていたいと思ってしまう。
書かれている内容以外にも、存在価値があったりするんですね。

というわけで、がんばった甲斐あって少し身軽になったはず、なんですが、
使っていた本棚が新居には置けず、本はまだ山積みになっています・・・。


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目的にかなわない本 (2004.03.03) by T先生

図書委員のお役目ももうすぐ終わろうとしています。本が大好きな私には
とても楽しい二年間でした。

最近は本を読む人が減っているそうです。ITの時代です。携帯やパソコンに
かかりっきりになってページをめくる楽しみを失いつつあるのかもしれません。

こういう時代の趨勢を受けて図書館も変わりつつあります。冊子体はかさばるし、
管理もめんどうくさいからon-lineに切り替えよう、というのは誠に効率的で
正しいのだと思います。必要な事柄をパソコンから検索し、目的にあわせて
情報をスリムに整えていくこと、on-line 化は素晴らしい!のです。でも、本当に
それでいいのでしょうか?図書館ってもっと特別な場所ではないでしょうか?

S.キングの「アトランティスのこころ」では主人公の少年が大人用の図書館パスを
誕生日プレゼントにもらう、という場面があります。そのパスは限られた本しか
読ませてくれない子供専用のと違って、彼に巨大な未知なる世界を開いてくれる
パスポートのように思えたことでしょう。

図書館はそういうわくわくするようなきっかけを与えてくれるところだと思います。
本がぎっしり詰まっている棚を歩き回ってタイトルをしげしげと眺め、手にとって
ページを開く。ちょっと埃っぽい匂いを嗅ぎつつ文章を読む。その時から新しい
世界が始まっているのです。勉強に必要であるとか、自分を高めてくれるとか、
そんなこと関係ないです。ただ、わくわくするのです。本ってそういうものです。
目的に関係ないほど面白いのです。

二年間、私が推したい本はいっぱいありました。でも、薬学の図書館という
目的を考えたらちょっと…。というものばかり。本当はそういう本こそ皆さんに
読んでもらいたいものなのです。別枠があったらいいのに。と思いました。

最後の図書選定がもうすぐあります。「ウエクスラー家の選択」を推そうと思い
ます。ある程度合目的な本として薬学図書館にあっても良い本でしょう。とても
厚い本なので手に取ってもらえるかわかりませんが、誰かの何かのきっかけに
なることを祈っています。


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災いは忘れた頃にやってくる (2004.02.18)

自慢?じゃないが、骨だけは華奢である。むしろ、粗末と言った方が当たっている。
それを証明するかのごとく、転倒して骨折した。これって?・・・
確かに、「アレに出ているあの人」、「そこにあるソレ」だの不毛な会話は増えた。
そもそも、転ぶ怖さは知っていたはずなのに・・・

10年程経つだろうか。
大きな黒い袋を両手に下げ、身の程知らずにゴミ捨てに走った。
結果、穿いてたスカートの裾を踏み、思い切りアスファルト道路に突っ込んだ。
後生大事にゴミ袋を握ったまま、あろうことか、顔から・・・
お岩さんもびっくりの顔面を大きなマスクで隠し、よほどでないと行かない病院へ。
覚えておいて欲しい。”傷は最初の手当てこそが肝心なのだ
過去の苦い経験から得た教訓である。

それにしても、何だって顔よりゴミをかばうんだと、自らを呪った。
ついでに、殆ど処置してくれなかった初診時の先生をも。
S市にある総合病院の形成外科。(科長の先生は親切でした。)
そこで、新たなる教訓。”要は、病院でなく人なのだ。
先生も患者も、人はいろいろなのです。

話はとぶが、大きな平目の活け造りを前にしたって、いろいろ。
よだれをたらしそうな人もいれば、動悸を起こした友人もいる。
はては、パクパクする口に、大根ツマを咥えさせて、はしゃぎまくる人もいた。

もし、薬剤師の方が、カルテに手を加えられるなら、あの先生の処方箋に、
せめて『化膿止め』位は加えていただけたかもしれない。

その後、この傷は徐々に成長し、唇もタラコ化している。

そして、今回の怪我では泣きっ面に蜂。歯痛も加わりほっぺが膨れた。
ちょうどその頃、虫歯でほっぺが脹れあがり数日の内に死亡した例を
テレビで再現ドラマ化して放送した。

侮り難し!スカスカの骨と、ぺこちゃんのほっぺ!!


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温泉もいろいろ (2004.01.28)

冬も本番、毎日寒い日が続いています。
皆さんは冬になると温泉に行きたくなりませんか?
自分は温泉が結構好きで、寒くなると温泉に行きたくなります。
体の芯から温まりますし、広い浴槽でお湯に浸かって
ぼ〜っとしているととてもリラックスでき疲れが取れます。

ところで、皆さんは「温泉」の基準を知っていますか?
温度が摂氏25度以上、もしくは、規定された成分が
一定量入っていれば「温泉」だそうです。自分には
自然に湧き出している温水が「温泉」といったイメージが
あったので、冷たくても規定の成分が入っていれば「温泉」、
ポンプで地中から汲み出していても「温泉」と言えるのは
ちょっと驚きでした。

また、温泉にもいろいろ種類があるそうで、
酸性かアルカリ性かというPHによる違いや、成分による違いだけでなく
水温によって、「冷鉱泉」「低温泉」「温泉」「高温泉」と区別され、
浸透圧の違いは、「低張泉」「等張泉」「高張泉」と区別される、など、など。
治療の目的に使われる「療養泉」も基準があるそうです。

最近は銭湯などでも、掘削して温泉を引いているところもあるようですし、
ちょっと足を伸ばせば、本格的な温泉も沢山ありますので
皆さんも機会がありましたらぜひ入りに行ってくださいね。


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