帝京大学薬学部 研究業績 | English
生体防御学研究室

研究室紹介
 生体防御と聞いて最初に思いつくのは免疫ではないでしょうか。免疫は自然免疫と獲得免疫に大別されます。前者は好中球やマクロファージなどの食細胞を主体としたもので、食作用やプロテアーゼの分泌、活性酸素の生成による生体防御の最前線であり、後者はリンパ球が活躍して作り出す抗体などによる生体防御機構といえます。このような免疫機構に加えて、血管が損傷した時の血液の流出を防ぐ血液凝固反応も生体防御機構といえます。また、血液凝固系に好中球が関連して血液が凝固し微生物を局所に封じ込める血栓を免疫血栓と呼びます。
 本来は生体を防御するための機構が何らかの原因で働かなかったり、過剰に働いてしまうと様々な疾患と結びつきます。例えば、好中球が異物消化のために分泌するプロテアーゼが癌の悪性化を促進する可能性があります。また、免疫血栓による病原体の封じ込め機構が過剰に働くとCOVID-19で見られるような重篤な血栓症(免疫血栓症)を引き起こすこともあります。一方で、生活習慣病に注目してみると、糖尿病患者では免疫細胞が働きにくくなって感染症を起こしやすくなったり、血液凝固が起こりやすくなって血栓症になったりします。

 私たちの研究室では、生体防御の異常が原因で発症する疾患の発症や進展のメカニズム、およびそれに関連する因子の解明、そしてこれらの疾患の新たな予防法・治療法の開発を目指した研究を行っています。

具体的なテーマ

1. 好中球が産生するがんの転移や悪性化に関わる因子の探索と機序解明に関する研究

2. 好中球が産生するプロテアーゼが引き起こす血液凝固異常に関する研究

3. 血栓準備状態を鋭敏に検出する新たな方法の開発とその応用に関する研究

4. 血栓症を予防する食品機能成分の探索と新規機能性食品開発に関する研究

5. がん化学療法薬が原因となる血栓症に関する研究

教職員
准教授 大藏 直樹
講師 鎌田 理代
研究員・大学院生