研究室紹介
臨床実習ユニットは、学生が円滑に臨床実習(薬局実習・病院実習)を実施できるよう、臨床前準備教育や直前教育など臨床系の実習の管理・運営を行っています。また、実習先の医療機関や指導薬剤師との連携窓口になっており、学生と指導薬剤師をつなぐ橋渡し的な役割も担っています。
当ユニット所属の教員は臨床現場での実務経験を有しているため、研究は実践的な内容となっています。
1. 外用NSAIDsの臨床効果に関する研究
先発医薬品、ジェネリック医薬品、OTC医薬品の中には、同じ成分を含む製剤がありますが、効果発現までの時間や持続時間、鎮痛作用に違いがあることがあります。それぞれの製剤がどのような特徴を持っているかを成分の皮膚吸収量の面か
研究室紹介:臨床実習ユニットは、学生が円滑に臨床実習(薬局実習・病院実習)を実施できるよう、臨床前準備教育や直前教育など臨床系の実習の管理・運営を行っています。また、実習先の医療機関や指導薬剤師との連携窓口になっており、学生と指導薬剤師をつなぐ橋渡し的な役割も担っています。 当ユニット所属の教員は臨床現場での実務経験を有しているため、研究は実践的な内容となっています。 1.アトモキセチンテープ製剤に関する研究
注意欠如・多動症(ADHD)の治療においては、患者による不規則な服薬や服薬中止といった服薬アドヒアランスの不良が大きな課題となっています。そこで、より簡便に投与でき、服薬回数の削減も可能な新たな剤形としてアトモキセチンテープ製剤の開発を目指した研究に取り組んでいます。
2.褥瘡治療を目的としたフォームとゲルのハイブリッド型外用製剤に関する研究
褥瘡患者では、皮膚のたるみやポケット形成などの皮膚の構造的な変化により、塗布した外用薬が患部から流れ出てしまう、あるいは患部への塗布そのものが困難になるといった課題が生じます。こうした課題を解決するために、患部への効率的な薬剤送達と保持性の向上を目指したフォームとゲルのハイブリッド型外用製剤(フォーム&ゲル製剤)の研究に取り組んでいます。
3.医療コミュニケーションに関する研究
がん医療におけるコミュニケーションに関して医師の告知研修、看護師の共感疲労対策、家族・遺族支援等によるQOL向上を目指した介入方法を開発しています。
4.教育方略に関する研究
@患者中心の医療を実践する上で、専門職間の協働(interprofessional collaboration)の重要性は年々高まっており、これに伴い薬学教育における多職種連携教育(Interprofessional Education: IPE)の体系的な充実が強く求められています。我々は、薬剤師が多職種チームの一員として主体的に参画し、専門性を発揮できるよう、IPEの教育的効果を最大化するための教育デザインの構築および実証的評価に基づいた教育手法の最適化に取り組んでいます。
A臨床前準備教育では、いわゆる「ペーパーペイシェント(文章で表現された患者)」を用いた学習が行われます。しかし、患者をイメージしにくい場合があるため、私たちは高機能患者シミュレータを用いて症例シナリオをベースとした教育方略を開発しています。シミュレーション教育による学生のニーズと学習の行動変容を解析・分析し、より効果的な臨床教育方略の立案に取り組んでいます。
5.感染症治療における抗菌薬投与設計の最適化に関する研究
感染症の治療では、抗菌薬の効果を最大限に引き出す投与方法が治療成績を大きく左右します。特に耐性菌の影響や腎機能が低下した患者においては、従来の標準的な投与設計では対応が難しいことが課題となります。そのため、薬剤の有効性を維持しつつ副作用のリスクを最小限に抑える新たな治療戦略が求められています。この研究では、臨床現場から収集した多様なデータを基に副作用発現のリスク因子を解析します。そして、患者一人ひとりの特性に応じた個別化医療を追求し有効性と安全性を両立させた効果的な投与設計の開発を目指しています。
6.甲状腺ホルモンの生合成・代謝における硫酸化の役割の解明
生体内における硫酸化反応は、薬物や神経伝達物質の代謝、タンパク質の翻訳後修飾など、さまざまな生命現象に関与しています。甲状腺においても、硫酸化は甲状腺ホルモンの代謝を促進するほか、甲状腺ホルモンの前駆物質であるサイログロブリンに含まれるアミノ酸チロシンの硫酸化など、ホルモン生合成において重要な役割を果たしていると考えられています。
本研究では、これらの硫酸化反応を触媒する酵素の発現制御機構およびその機能を明らかにすることを目的として、ラット甲状腺濾胞細胞株を用いた解析を行っています。 |