帝京大学薬学部 研究業績 | English
生物化学研究室

研究室紹介

 「生物化学(生化学)」という学問は、生命のいとなみを分子のレベルで理解しようとする学問です。体の中で起きている出来事はすべてさまざまな分子(生体分子)が関わりあう(相互作用し反応する)ことによって成り立っています。くすりも分子であり、生体分子の反応に介入して作用します。従って、生物化学は生命のいとなみやくすりの作用を深く理解する上で土台となる最も基礎的で重要な学問です。

 生物化学教室では、生体分子の中でも特に脂質に注目して研究を行っています。脂質が単に栄養素としてだけではなく、生体にとって重要な様々な現象や病気に関係することは、薬学の様々な講義で学ぶことになります。生物化学教室の研究テーマは「リン脂質およびリゾリン脂質の代謝を通じて生命現象・病気のメカニズムを明らかにする」ことです。

 「リン脂質」には脂肪酸が2つ結合しています。リン脂質が多数、集合して細胞膜など生体膜を構成しています。生体膜の性質は、リン脂質の脂肪酸の種類や組合せにより異なり、それがどのように調節されているかを探求することは非常に重要です。また、リン脂質の脂肪酸のうちのひとつが切れてできた脂肪酸をひとつ持つものを「リゾリン脂質」とよびます。

 リゾリン脂質には様々なものがありますが、そのひとつのリゾホスファチジン酸は細胞の増殖、神経細胞の移動、神経突起の退縮、がん細胞の浸潤・転移、動脈硬化など、様々な生理学的、病理学的な活性を持ちます。また、リゾホスファチジルイノシトールがマリファナの第3の受容体のアゴニストであることが明らかになっています。私たちの研究室では、リン脂質、リゾリン脂質の産生や代謝に関わる「ホスホリパーゼ」と「アシルトランスフェラーゼ」に注目し、その性状を解析することで、リン脂質、リゾリン脂質が関わる「生命現象」「病気のメカニズム」を明らかにしたいと考えています。教員の指導のもと、大学院生や卒業研究生が積極的に研究に取り組み、研究成果は高く評価され生命科学・薬学の発展に貢献しています。

(山下業績 Yamashita's publications)


教職員
  教授 山下 純
  講師 佐々木 洋子
  助教 松本 直樹
   
研究員・大学院生